参拾伍 ページ11
ここは……どこだろう……。
しばしも休まず つち打つひびき
飛び散る花火よ はしる湯玉
歌…？誰が歌ってるの？
ふいごの風さえ 息をもつかず
歌ってるのは男の子だろう。その声はどんどん近ずいて来た。
『……ぇ……む、無一郎？』
にしては小さい。小さな無一郎に似た男の子がしかめっ面で寄ってきた。
「おい!!!!」
『！？』
突然男の子に胸ぐらを掴まれた。とんでもない剣幕だ。
「テメェ!!いつまで寝てんだ!!早く目ぇ覚ませ馬鹿!!」
『な、な、え？は？君誰？』
「時透有一郎だ!!テメェの夫の兄だよ!!」
『え"……ええええええええ!?!?!?!?』
有一郎くんは私の頭を全力で殴ると、また怒鳴った。
有一郎「さっさと目ぇ覚ませ!!お前死にそうだぞ!!」
『どういう…事？』
有一郎「目を覚ませ!!……鬼になれ!!!!!!!!」
『ﾊｯ!!!!』
「A!!」
目を開けると、こちらに刀を向けた無一郎、そして小鉄くんがいた。小鉄くんはなぜか隣にいる知らない人と怯えている。
ーーー無一郎sidーーー
金盛さんを助けて新しくできた刀を取りに行こうとすると、上弦の鬼、玉壺に出くわした。
だが戦闘の前に作品を見せてくれと、馬鹿らしい事を言われた。
しかも作品は刀鍛冶達の「断末魔」とかなんとか。
玉壺「どうです？芸術的でしょう？…ああ、そうでした。最後にこの作品を……」
「まだあるの？くだらない作品…………が………ぇ…」
でも、壺から出てきたのは……僕の妻だった。
首を刀で刺されたまま、両手を前に縛られている。
目に光はなく、ぐったりとしていた。
「(僕が置いて行ったばかりに……)ﾁｯ…」
玉壺「作品名は【悪姫】でしょうか…良いでしょう!!美しいでしょう!!」
「……お前……なんの真似だ…」
玉壺「ほ〜…まさか…妻でしたか？」
玉壺は気持ち悪い声でAの髪に触れた。
触るな……。触るな……。
刀を持つ手に力が入る。と、
『ﾊｯ!!』
「!!A!!」
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作者名：見習い小説家 | 作成日時：2023年7月15日 11時
