第1話『ひったくり犯』 ページ2
ゆずside
制服採寸会が終わって図書館に行こうとした。
私の大好きな図書館は、青星学園からちょっとはなれたところにある。
学校の近くにはにぎやかな商店街があって、銀行や郵便局がならんでるんだ。
わたしが、その銀行の前を通り過ぎた時だった。
歩いている人が、みんな「ある場所」をチラッと見ていくの。
『わぁ‥‥。』
わたしも、そこを見て思わずそう言っちゃった。
銀行の横の自販機に、ジュースを飲んでいる男の子4人と女の子1人がいたんだけど‥。
それがもう!すごくカッコいいし、女の子はかわいかったの。
5人とも全然タイプが全然違う。
赤パーカーの活発そうな子。
青シャツの物静かでクールそうな子。
白ジャケットの茶髪でちょっと大人っぽい子。
黒シャツの王子様みたいな子。
淡いピンクのワンピースのとても可愛いくて、でも大人っぽくてお姫様みたいな子。
だけど、全員がもれなく、キラキラ輝いているように見えた。
わたしはそのそばを、ちょっとドキドキしながら通りすぎた。
わたしも中学生になったら、カッコいい男の子とデート!とかすることになったりして!
それって、すごくステキだ!
「──オラ!よこせババァ!!」
バラ色の妄想を展開していたわたしの耳に、とんでもない言葉が飛び込んで来た。
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作者名:ここあらて | 作成日時:2021年8月20日 14時