329歩目 ページ42
(…ラブーンも、わかっているんだろうね。この子は、賢いから)
頭ではわかっていても、きっとそれを受け入れられないままなんだろう。事実をそのまま受け入れることは、時にひどく難しいことだから。
「その後何度も海賊達のことを伝えようとしたが…」
「聞こうとしない、ってわけだね」
言葉をつぐようにそう言うと、クロッカスさんは縦に首を振った。
「なんてクジラだよ…裏切られてなお待つか」
サンジがまた新しいタバコに火をつけて、煙を吐き出した。
「"待つ意味"もねェのに…!!」
「そうだ…」
クロッカスさんがラブーンを見つめる。
「意味をなくすから、私の言葉を拒む。"待つ意味"を失うことが何より恐いのだ」
ラブーンの声が止む。その目はじっと赤く聳え立つ壁を見つめていた。
「こいつの故郷は"
クロッカスさんの顔の険しさが増した。
「だからここへ一緒にやってきた彼らだけが、仲間であり希望だったのだ」
希望、それを失う辛さはよく知っている。
「…でもよ」
サンジがクロッカスさんを見た。
「確かにこいつは可哀相な奴なんだが、言ってみりゃあんただって裏切られてんだぜ?」
サンジの目がじっとクロッカスさんを見ている。
「もう放っといてもいいんじゃねェのか?」
「…こいつの額の傷を見ろ」
クロッカスさんがラブーンを見上げた。
「このまま加減なく頭をぶつけ続ければ、間違いなくこいつは死ぬ」
ナミが一瞬ラブーンを見て、そっと目を背けた。
「妙な付き合いだが50年近くもこいつとは一緒にいるんだ、今更見殺しにできるか…」
その時、大きな木が折れたような音がした。
「うおおおおおおおおお!!!!」
「は!?」
ルフィがメインマストをへし折り、それを担いでラブーンの背中を登っていく。
「何やってんだ、あのバカはまた…」
「ちょっと目を離したスキに…」
雄叫びをあげてルフィはついにラブーンの傷だらけの頭の上に立った。
(あんなところで、あんなもの持って…何する気…?)
「ゴムゴムのォォォォォ!!!!」
ルフィの手がマストを持ったまま上に振り上げた。ゴムの腕が大きく伸びる。
(え、ちょっと…?まさか…!!)
嫌な予感に、顔が青ざめていくのがわかった。
「生け花!!!!」
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りと(プロフ) - 甘党さん» あ、ありがとうございます〜!トンカチって書いてましたか…!すぐ修正しときます〜!! (2018年11月26日 18時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - りとさん!読ませていただいてますが、一つ質問?です!322歩目の話でルフィの事をトンカチと言っていますが、正しくはカナヅチではないでしょうか?すごい細かくて申し訳ないんですけど、気づいてしまったのでとりあえずご報告を…(*'ω'*) (2018年11月26日 18時) (レス) id: de091372b0 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン(=・ω・=)(プロフ) - りとさん» そうでしたか!お返事ありがとうございますm(_ _)m (2016年8月18日 18時) (レス) id: 86f8ae39c8 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ミカン(=・ω・=)さん» ミカンさん、コメントありがとうございます。理由としては2つあって、1つは作者が面倒に思ったから。もう1つはない方が文字数が稼げるからです。別段意味はないですよ(*^o^*) (2016年8月18日 18時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン(=・ω・=)(プロフ) - 質問いいですか?なぜ途中からセリフのとこに名前を付けなくなったんですか?変なこと聞いてごめんなさい!これからも頑張ってください^^ (2016年8月18日 18時) (レス) id: 86f8ae39c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2016年4月26日 14時