288歩目 ページ49
「あの子はね、自分１人の体も心もかけて、私たちを守ってくれてるの」
アーロンの支配に対抗する術はなく、海軍の助けも期待出来ない。しかし、連れ去られたナミを見捨てることもできない。
そんな終わりのない議論をしていた村人たちの前にナミが現れた。金の入った袋を持ち、細い肩に忌々しい刺青をいれて。仲間になったのだ、とナミは笑った。
だが、それは表向きの話だった。ナミはアーロン一味に入った日から、覚悟を決めたのだ。大金で村を買い戻すために、たった一人で戦う覚悟を。
「…８年前のあの日から、あの娘は人に涙を見せることをやめ、決して人に助けを求めなくなった」
ノジコは目を伏せたまま、続けた。何度も落ちてくる涙を拭いながら。
「あたし達の母親の様に、アーロンに殺される犠牲者をもう見たくないから…！！！」
ノジコがわずかに語気を荒げた。
「わずか１０歳だったナミがあの絶望から１人で戦い生き抜く決断を下すことが、どれほど辛い選択だったかわかる？」
私は頷くことはできなかった。軽率に"わかる"なんて、言えない経験だ。
「…村を救える唯一の取引のために、あいつは親の仇の一味に身を置いたんだね」
「…辛い、話だったな」
サンジがバッと立ち上がる。
「あァ、愛しきナミさんを苦しめる奴ァ、このおれがブッ殺してやるァ！！！」
ノジコの鉄拳が、息まくサンジの脳天に落とされた。
「な…なにをおねーさま…！？」
「"それ"をやめろとあたしは言いに来たんだよ！あんた達がナミの仲間だとここで騒ぐことで、ナミは海賊達に疑われこの８年が無駄になる｣
「…。」
「だから…これ以上あの娘を苦しませないでほしいの！！！」
その言葉に、私は目を閉じた。
「ノジコ、今から言うことは酷なことだけど…」
しっかりとノジコを見据える。
「その極悪非道の海賊が、そう素直にナミの願いを叶えてくれると…"まっとうに"取引に応じてくれると、本気で信じてるのかい？」
「…え？」
「そんなことが起きてたら、普通は"さらに"海軍が出て来るんだよ。なのに、この島の傍には一隻も海軍の船を見かけなかった。何故だと思う？」
ノジコの目が大きく見開かれる。
「あいつら、海軍と組んでるよ。そして、ナミの目論見がアーロンにバレていたとしたら、ナミの盗んだ"盗品"を、海軍は奪いに来るだろうね。"正義"の名目で…」
風の音に耳を澄ます。
「そして、その海軍が…今、この島に来ちまったみたいだ」
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シンア - コメ返事ありがとうございます。 (2016年3月24日 2時) (
レス) id: cbcf508a8d (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - シンアさん» シンアさん、初めまして！コメントありがとうございます(´∇｀)そう言ってもらえて本当に嬉しいです！これからも頑張りますね！！ (2016年3月23日 23時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 更新楽しみにしてます。 (2016年3月23日 23時) (レス) id: cbcf508a8d (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - みみさん» みみさん、コメントありがとうございます！インフルエンザで出席停止していた間にガンガン更新させていただきました〜wこれからも不定期ではありますが、頑張って更新していきますね！！ (2016年1月23日 15時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - うはー！（≧∇≦）大量更新ありがとうございます☆続きが気になって来ましたー！更新頑張って下さい！ (2016年1月23日 11時) (レス) id: 3e6b0e0f53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2015年6月16日 21時
