787歩目【Side.ロビン】 ページ46
ロ「!」
不意に私を囲んでいたミラ達の姿が消えた。ふわりと強い百合の花の匂いが香る。
ナ「チョッパー!"ナイス…じゃない"!!」
慌てて言葉を打ち消したナミがふぅっと息をつくのがわかった。
ロ(不思議ね、今はなぜか怖くない…)
緊張感は変わらない。だけど、仲間の声がするだけでほんの少し怖くなくなる気がした。一瞬だけすくみかけた足を、また前へ踏み出す。
ロ(…恐らく、さっきの襲撃で私の居場所はバレてるはず。じきに彼女たちが押し寄せて来るわ)
その前に場所を変えたい。袋小路に迷い込まないように気を付けながら、私は曲がり角に背中を合わせた。息を殺し、微かな足音すら聞き逃さぬように耳をそばだてる。昔から、ずっとやってきたことだ。
─ヒタ…
不意に、異質な足音が聞こえた。ミラはヒールのあるブーツをはいていたはずだ。私も今はいているのは、ハイヒール。だとしたら、今聞こえた裸足の足音はなんだ。
ロ「…?」
周囲に人の気配がないことをよく確認し、私は息を殺して裸足の足音のした方を覗き込んだ。
ロ(えっ…?)
そこには、ミラとまだ幼い子どもの姿があった。髪の色がよく似ているせいか、母子のようにも見える。だが、少女は裸足で、服もどこか薄汚れている。髪も伸び放題で、体も痛々しいくらいに痩せていた。
ロ(あれは、誰なの…?)
じっと目をこらし、少女を見つめていると、僅かに少女の握り締めた手から淡い光がこぼれたのが見えた。そのやわらかい紫の光に、ふっと確信を抱いた。
ロ(あれが、Aの記憶の結晶だわ…)
もう一度、周囲を見回す。誰もそばにいないことを確認し、私は彼女たちが曲がった角に向かって歩き出した。
ミ「"私はここにはいる"」
不意にミラの声が響く。思わず駆け出し、覗き込んだ角の先で、ミラと共にいた少女はすでに消えていた。
ミ「あら、見られた?」
くるりと振り返ったミラの顔は張り付けたような笑みを浮かべている。それも不気味だったが、さらに不気味なのは、彼女の体がまるで操り人形のように動いた事だった。人間には不自然な動きのまま、こちらに体を向けると、ミラはカクンと首を横に倒す。
ミ「あなた、"見た"のね」
ロ「!!」
不意に、頭が痛み始めた。それと同時に、さっき見た少女の姿が急速に記憶から抜け落ちようとしている。
ロ「"いいえ、見てない"わ!!」
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りと(プロフ) - みずいさん» みずいさん、コメントありがとうございます!お返事が遅くなり、申し訳ありません<(_ _)>そう言っていただけて嬉しいです!今後も不定期の更新になりますが、楽しんでいただければ幸いです♡(*´・ω・) (2022年5月31日 22時) (レス) @page43 id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
みずい(プロフ) - オリジナル長編が面白すぎる…!!更新楽しみにしています! (2022年5月22日 0時) (レス) id: 8876da800a (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - そのかさん» そのかさん、コメントありがとうございます!そういっていただけて、とても更新の励みになります!あまりにものんびりとした更新ではありますが、これからも気長にお楽しみいただければと思いますm(__)m (2022年3月27日 1時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
そのか(プロフ) - すごく面白くて好きです!次の更新楽しみにしてます! (2022年3月22日 11時) (レス) @page30 id: 35e12bb70c (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 黒砂糖パフェさん» 黒砂糖パフェさん、ありがとうございます!そう言っていただけて、とても嬉しいです!のんびりとした更新ですが、これからも読んでいただければ幸いですm(__)m (2022年2月2日 2時) (レス) @page21 id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2021年12月26日 18時