780歩目【Side.麦わらの一味】 ページ39
「「…！」」
獣道から一歩進むと、崖の上の広い場所に出た。眼下には、遠くに見えていた白い街が広がっている。
石畳も白、建物も白…目につく建造物はすべて白い。その隙間から生えたらしい草花や蔦が街に彩を添えている。
しかし、目につく建物はほとんどがどこかしら壊れていた。屋根が崩れ落ちているものや、壁に大穴が空いているものなど、人が住んでいるようには見えないものばかりだ。酷いものだと、かつて建物があったらしいという基礎だけ遺して、ほかは全て瓦礫になってしまっていた。
思わず全員が絶句していた。
レ「ここは12年前までは、多くの人が暮らしていた場所だったんだがね…今じゃこの有様ってわけさ」
そう言うと、レアナはくるりと崖下に広がる街に背を向けた。
レ「今はここにいる人間はいない、私だけさ」
サ「じゃあ、レアナさんはずっとここで独りで…？」
レ「ま、そんなとこだ。他のみんなはもう居なくなっちまった」
それだけ言うと、レアナはそれ以上語ることを拒むように口を固く引き結んでしまった。
廃墟となったまち沿いに広がった雑木林の中を、レアナに率いられて一味は進んでいく。青々とした葉や色鮮やかな花々、爽やかな空気は、今こういう状況でもなければ、ゆっくりと堪能したいくらいだった。
レ「もう間もなく、塔に着く」
静かにそう呟くと、レアナはふと足を止めた。続いて足を止めた一味に、レアナが振り返る。
レ「後戻りが出来るのは、ここまでだよ」
レアナの目がまっすぐにルフィ達を見つめていた。
レ「もう一度、言う。この先は生きて帰れる保証はないし、Aを必ず助けられるとは限らない。むしろ、どちらの可能性も低いだろう」
それでも、とレアナは一味に尋ねた。
レ「それでも……あんた達は、この先に進むんだね？」
そう問いかける彼女の目は、一味の覚悟を見定めようとしているようにすら見える。
ル「ああ、進む」
間髪入れずにルフィはそう言った。
レ「なぜ進む？A一人の命のために、仲間全員を失うかもしれないんだよ？」
ル「ここでAを諦めたら、おれは一生後悔する。あいつが居なきゃ、この先の冒険に意味がねェ！」
ルフィは迷いなくそう言いきった。
ル「だから…」
ルフィが前に進んだ。迷いのない、しっかりとした一歩だった。
ル「Aのことは、絶対に助ける！んで、みんなで生きて帰る！」
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りと(プロフ) - みずいさん» みずいさん、コメントありがとうございます！お返事が遅くなり、申し訳ありません<(_ _)>そう言っていただけて嬉しいです！今後も不定期の更新になりますが、楽しんでいただければ幸いです♡(*´･ω･) (2022年5月31日 22時) (
レス) @page43 id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
みずい(プロフ) - オリジナル長編が面白すぎる…！！更新楽しみにしています！ (2022年5月22日 0時) (レス) id: 8876da800a (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - そのかさん» そのかさん、コメントありがとうございます！そういっていただけて、とても更新の励みになります！あまりにものんびりとした更新ではありますが、これからも気長にお楽しみいただければと思いますm(__)m (2022年3月27日 1時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
そのか(プロフ) - すごく面白くて好きです！次の更新楽しみにしてます！ (2022年3月22日 11時) (レス) @page30 id: 35e12bb70c (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 黒砂糖パフェさん» 黒砂糖パフェさん、ありがとうございます！そう言っていただけて、とても嬉しいです！のんびりとした更新ですが、これからも読んでいただければ幸いですm(__)m (2022年2月2日 2時) (レス) @page21 id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2021年12月26日 18時
