私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ31)

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ウ「何だ何だァ！！？」

　騒がしい甲板に、仮眠をとっていたみんなが起きだしてくる。

『予想より早く「積帝雲」が現れた！！』

ナ「うそでしょ！？まだ海流の位置もわかってないのに！！」

　ナミが悲鳴のような声をあげた。しかし、ナミが焦るのもわかる。『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』というわけのわからない神秘の海流に挑み、あるかわからない島に向かおうとしている…そういう状況で本来与えられるはずの情報がないのはクルーの安全を守る航海士にとっては一番の不安要素であり、避けたいことだ。
　ショウジョウが大きく息を吸うと、良く通る声で吼えた。わずか1分足らずで潜っていたショウジョウのクルーが海面にあがってくる。

「反射音確認！！12時の方角、大型の海流を発見！！」

「9時の方角、巨大生物を探知！！海王類かと思われます！！」

「10時の方角に海流に逆らう海を確認！！巨大な渦潮ではないかと！！」

マ「それだ！！！」

　マシラが怒鳴り声をあげた。

マ「船を10時の方角に向けろ！！！爆発の兆候だ！！！渦潮をとらえろ！！退くなよ！！！」

　マシラがそう叫んだ瞬間、不意に突きあげられる様な揺れが船を襲った。

「「うわああ！！？」」

『ッ！！？』

　慌ててマストにしがみつく。

「『なんだ！！？』」

　慌てて周囲を見まわすと、先ほどの穏やかな海が嘘のように荒れ始めている。

『ナミ！！急に波が荒れ始めた！！』

　今にも船を飲み込んでしまいそうな規模の波が前後左右関係なく襲い掛かってくる。

(マストにいちゃ振り落とされる！！)

　ぐらぐらと揺れるマストから、甲板に飛び降りるとずるりと体が滑って浮いた。

『！』

ゾ「ッ！何やってんだ！！」

　ゾロの手が私を掴むと、船から飛び出そうになった体を引き戻した。

『ごめん！』

ゾ「気を付けろ！！」

　また大きな揺れが船を襲う。

マ「爆発の前震だ！！気を付けろ！！！」

　海水でずぶぬれになりながらも、私は周囲を見まわした。渦潮はまだ見えない。

ロ「航海士さん！！」

　不意に騒がしい甲板でロビンがナミを呼んだ。

ナ「え！？」

ロ「『記録指針(ログポース)』はどう？」

　ロビンの言葉にナミが腕のログポースに目をやった。

ナ「…………！！！」

　ナミがはっとまっすぐに前を見据える。そこには私たちの目指す「積帝雲」があった。

ナ「ずっとあの雲を指してる！！！」