私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ27)

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『───ッ！！！』

　ルフィを捕まえた時点で、日は既に昇り始めている。今ルフィを担いだまま、必死で森の中を走っているが、この調子では時間には遅れてしまうだろう。

ル「A、おれ走れるぞ？」

『またどこかに行かれたら面倒なんだ…ッ！』

　こうなっては致し方ない…と風を操って体を運んでいるが、焦りと疲労でコントロールが悪い。既に何度か頬やら腕を枝に引っかかれている。

(とにかく…早く帰らなきゃ……！)

　私に担がれたままヘラクレスオオカブトに喜んでいるルフィを、ちょっと恨めしく思いながら、私は朝日の入り込み始めた森の中を滑るように飛んだ。

ナ「何やってんのよ！！あいつらは！！」

　ナミの怒鳴り声と同時に、私達の体は森の中から放り出された。

ゾ「うおっ！」

サ「Aさんっ！」

　能力を解除しても勢いはそのまま。ルフィを離した私の体は宙に放り出されていた。このままだと地面に激突だ、と思いかけた時、不意に私の体を誰かが受け止めた。

ロ「おかえりなさい、A」

　そう言ってロビンがにこやかに笑う。どうやら能力で私の体を受け止めてくれたらしい。

ナ「んもー！！A、あんたがついておきながらなんで遅れてくんのよ！！一分一秒だって惜しいのに！！」

『わ、悪い…』

ナ「まあ、10分遅れだからまだ許してあげるけど、次はないから！！わかった？」

『はい…』

　頭を下げる私の向こうでルフィは目を輝かせている。

ル「これ見てみろよ！すっげーぞ！！」

マ「あ？」

シ「お？」

「「？」」

　マシラとショウジョウ、そして2人の部下達がルフィのそばに集まる。

ル「ヘラクレス～～～！！！」

ウ・ナ「「何しとったんじゃ───！！！」」

　ウソップとナミがあんぐりと口を開けて信じられないという表情を浮かべた。私だってヘラクレスを捕まえるためにルフィがあんなに奮闘するとは思わなかった。げっそりしている私を気遣ってか、チョッパーがポンポンと肩を叩いた。

『そう言えば、船は…』

　ベラミー達のせいで大変なことになってしまったがまた航海出来るのだろうか、と顔を上げる。

『─！』

ル「うわっ！！すっげェな～～～！！」

　折れた甲板は修復され、鉄板で補強されている。薄汚れていた船首のメリーの顔も真っ白だ。そして何より…

『羽が、生えてる…』

　そうさ、とウソップが頷く。

ウ「G・M(ゴーイングメリー)号フライングモデルだ！！」