私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ19)

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森から出た瞬間、目を疑った。

『！！』

　ボロボロの家。あちこちに血が飛び散っている地面。
　明らかに「何か」があった後だった。

ル「菱形のおっさん！！マシラ！！！ショウジョウ！！！！」

　一瞬、過去の記憶が蘇る。

─……助けて……

─痛い…………

　倒れた人の姿と血の色が『あの日』と重なって見えた。

『っ……』

　思わず口元に手をやったが、すぐに頭を振る。

(それどころじゃない…！！)

　慌てて倒れているクリケットさんに近づいた。近くには倒れているマシラ、海には血まみれのショウジョウが浮いている。

『…なんて酷いことを……！』

　息を呑む私の後ろでサンジがショウジョウを引き上げた。

サ「くそ……何者の仕業だ……！！」

『チョッパー、サンジを手伝ってくれ。ナミとロビンは船から───────』

　ガン、と頭を殴られたような衝撃を受ける。

『メリー号が……』

　甲板の前半分が切り落とされ、マストも折れた無残な姿を晒していた。

ウ「なんてこった！！誰だこんなことしやがったのは！！畜生ォ！！誰だ！！」

　叫び出したくなるのを必死で抑え、私はクリケットの肩を叩いた。

『クリケット、何があった！？』

ク「……すまん……」

血を吐いてクリケットは目を開けた。

『クリケット！！気がついたのか！？』

ル「おっさん！！」

ク「ほんとにすまん……おれ達がついてながら情けねェ……！」

　弱々しい声に唇を噛み締める。

ク「だがよ……！！ちゃんと……まだ時間はある…………！日が昇るまでにちゃんと…船を強化してよ……」

ル「待てって、おっさん！！とにかく何があったか話せよ！！」

　いいんだ……とクリケットは首を横に降った。

ク「気にするな、もう何でもねェ……」

『嘘つけ！』

　慌てて起き上がろうとするクリケットの肩を抑えたが、その手を振り払われた。

ク「いいんだ……そうだ……それよりお前ら…よく捕まえてこれたな……サウスバード……」

『そんなことはいい！！私達は何があったんだって聞いてんだ！！』

　クリケットは何も言わずに笑う。その顔に浮かんだ絶望にハッと息を呑んだ。

ナ「ルフィ！！！」

　突然、クリケットの家に薬や包帯を取りに行っていたナミが叫び声を上げた。駆け戻ってきたナミの表情は明らかに狼狽していた。

ナ「金塊が……取られてる……！！」