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627歩目 ページ16

ク「ある種の動物は体内に性格な磁石を持ち、それによって己の位置を知るという」

ナ「うん…鳩とか鮭はそんな能力(ちから)があるって聞いたことがあるけど」

 その言葉にルフィがゲラゲラと笑い出した。

ル「じゃあゾロ、お前は動物以下だな。」

ゾ「てめェが人の事言えんのかよ!!」

 どんぐりの背比べのような話だな、とルフィ達を横目に私はクリケットを見つめる。

ク「『サウスバード』はその最たるものだ。どんな広大な土地や海に放り出されようとも、その『体』に正確な方角を示し続ける」

 そう言うと、クリケットは大きく息を吸い込んだ。

ク「とにかく!!!この鳥がいなきゃ何も始まらねェ!!!『空島』どころかそこへ行くチャンスに立ち会うこともできんぞ!!!」

「「えー!!!?」」

 クリケットの言葉にウソップ達が叫び声をあげる。

ル「なんで今頃そんな事言うんだよ!!」

ウ「もう真夜中だぞ!!今から森へはいれって!!?」

ク「ガタガタ言うな、時間がねェんだ!!!」

 クリケットはそう怒鳴って立ち上がるなり、私たちに網を放り投げた。

ク「おれ達はこれからお前らボロ船の強化にあたる!!…考えてみりゃ宴会やってる場合じゃなかったぜ!!」

『だから今更言うな!!』

 すっかり酔いが醒めた私達は一斉に荷物を持たされると、外へと放り出された。

ク「夜明けまでに『サウスバード』を一羽!必ず掴まえてこい!!」


ル「うわ…真っ暗!!」

 チチチチ…と鳴く鳥の声がよく響く森の中は、少し不気味だ。

ウ「…!!」

サ「ひっぱんな、てめェ!!」

ゾ「さっさと捕まえて飲み直そうぜ…」

チ「おなかいっぱいで苦しい、おれ…」

ナ「何でいきなりこんなことになんの!!?」

 不満を漏らすみんなの背中を見つめながら、私は暗い森の中を見回した。木々の合間に差し込んでくる僅かな月明かりだけが明かりだ。ようやく目が慣れてきたとはいえ、とにかく暗い。

(不気味…)

 不意に肩に何かが触れた。

『─ッ!!?』

 勢いよく振り返った私と、驚いたようなロビンの目があった。

『…』

ロ「あら、ごめんなさい。肩に虫が付いてたから…」

『そ…そう』

 クス、とロビンが笑う。

ロ「あなた、怖いもの知らずだと思ってたけど…案外怖がりなのね」

『…!別にそういうわけじゃ…』

 わかりやすい言い訳だが、とにかくそう言って私は前を向いた。




いち早くあの鳥を捕まえて森から出よう、そう思いながら。

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設定タグ:ワンピース , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:りと | 作成日時:2019年5月15日 11時

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