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ク「ある種の動物は体内に性格な磁石を持ち、それによって己の位置を知るという」
ナ「うん…鳩とか鮭はそんな
その言葉にルフィがゲラゲラと笑い出した。
ル「じゃあゾロ、お前は動物以下だな。」
ゾ「てめェが人の事言えんのかよ!!」
どんぐりの背比べのような話だな、とルフィ達を横目に私はクリケットを見つめる。
ク「『サウスバード』はその最たるものだ。どんな広大な土地や海に放り出されようとも、その『体』に正確な方角を示し続ける」
そう言うと、クリケットは大きく息を吸い込んだ。
ク「とにかく!!!この鳥がいなきゃ何も始まらねェ!!!『空島』どころかそこへ行くチャンスに立ち会うこともできんぞ!!!」
「「えー!!!?」」
クリケットの言葉にウソップ達が叫び声をあげる。
ル「なんで今頃そんな事言うんだよ!!」
ウ「もう真夜中だぞ!!今から森へはいれって!!?」
ク「ガタガタ言うな、時間がねェんだ!!!」
クリケットはそう怒鳴って立ち上がるなり、私たちに網を放り投げた。
ク「おれ達はこれからお前らボロ船の強化にあたる!!…考えてみりゃ宴会やってる場合じゃなかったぜ!!」
『だから今更言うな!!』
すっかり酔いが醒めた私達は一斉に荷物を持たされると、外へと放り出された。
ク「夜明けまでに『サウスバード』を一羽!必ず掴まえてこい!!」
ル「うわ…真っ暗!!」
チチチチ…と鳴く鳥の声がよく響く森の中は、少し不気味だ。
ウ「…!!」
サ「ひっぱんな、てめェ!!」
ゾ「さっさと捕まえて飲み直そうぜ…」
チ「おなかいっぱいで苦しい、おれ…」
ナ「何でいきなりこんなことになんの!!?」
不満を漏らすみんなの背中を見つめながら、私は暗い森の中を見回した。木々の合間に差し込んでくる僅かな月明かりだけが明かりだ。ようやく目が慣れてきたとはいえ、とにかく暗い。
(不気味…)
不意に肩に何かが触れた。
『─ッ!!?』
勢いよく振り返った私と、驚いたようなロビンの目があった。
『…』
ロ「あら、ごめんなさい。肩に虫が付いてたから…」
『そ…そう』
クス、とロビンが笑う。
ロ「あなた、怖いもの知らずだと思ってたけど…案外怖がりなのね」
『…!別にそういうわけじゃ…』
わかりやすい言い訳だが、とにかくそう言って私は前を向いた。
いち早くあの鳥を捕まえて森から出よう、そう思いながら。
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作者名:りと | 作成日時:2019年5月15日 11時