私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ12)

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ク「行くならしっかり準備しろ」

『え…！』

　そんなに早く、と思わず息を吞む。

ウ「間に合うじゃねェかァ～～～～～～！！！！」

　ウソップの悲鳴にクリケットが首を傾げた。

ク「なんだ、そんなに嫌ならやめちまえ」

　ウソップがその言葉に、一瞬口をつぐんだ。そして不意にウソップの眼に疑いが浮かぶ。

ウ「ウ…ウソだろ！！」

　ウソップが突然、クリケットを指さした。

ク「ア！？」

ウ「だいたいおかしいぜ！！！…！！今日初めて会ってよ！！親切すぎやしねェか！！？」

ク「…。」

ウ「それによ！！」

ル「おい、ウソップ！！」

『やめな、ウソップ』

ウ「おめェらは黙ってろ！！」

　ウソップが片手で私達を制したまま、クリケットを睨んだ。

ウ「『空島』なんてよ…！！伝説級に不確かな場所に行く絶好の機会が…！明日だと！！？そのために船の強化や進航の補助をしてくれる！！？話がウマすぎるぜ！！！一体何をたくらんでやがるんだ！！！」

『ウソップ、もうやめな！！』

ウ「お前は『ウソつきノーランド』の子孫だもんなァ！！！信用できねェ！！！」

　言ってしまったか、と小さくため息をつく。

マ「おやっさ───ん！！メシの支度が出来たぜ────！！今日のは格別だぜ！！！」

サ「ナミさーん！！ごはんでき…」

シ「コイツスゲー料理うめーんだ！！ハラハラするぜ！！」

サ「だから一流コックだっつってんだろ！」

　突然、場違いなほどの明るい声が響いた。と同時に、ふわりと食欲をそそる香りを感じた。

「「ん？」」

ク「…」

　クリケットは何も言わない。

ウ「なんだよ…やんのか！！？」

　拳を構えたウソップにクリケットは黙って煙草をつまんだ。

ク「マシラの…」

クリケットはゆっくりとウソップの方に歩き出した。

ク「あいつのナワバリで日中『夜』を確認した次の日には、南の空に『積帝雲』が現れる…。月に5回の周期から見て『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』の活動も恐らく明日だ。そいつもここから南の拠点で起こる。100％とは言い切れんが、それらが明日重なる確率は高い」

ふわりと煙草の煙がウソップを撫でる。

ク「おれはお前らみたいなバカに会えて嬉しいんだ。さぁ、一緒にメシを食おう。今日は家でゆっくりしてけよ」

　クリケットは笑っていた。怒りなど見えない、純粋な笑顔だった。

ク「同志よ」