626歩目 ページ14
ク「ジャヤ到着の日！！」
クリケットの語る声は未だ止まらない。
ク「1122年、5月21日の日記！！」
「「ノーランド！！ノ〜ランド！！」」
酔いと陽気なく浮きに乗せられて、次々とノーランドのコールが上がる。
ク「───その島に着き、我々が耳にしたのは！」
ノーランドが片手を耳に寄せた。
ク「森の中から聞こえる『奇妙な鳥』の鳴き声と、大きな…それは大きな鐘の音だ。巨大な黄金からなるその鐘の音は！どこまでもどこまでも鳴り響き！あたかも過去の都市の繁栄を誇示するかの様でもあった！」
酒が入ったせいか、どんどんクリケットの声は大きくなっていく。
ク「広い海の長い時間に咲く文明の儚きに寄せて！高々数十年生きて全てを知る風な我らには！それはあまりにも重く言葉を詰まらせる！！」
クリケットは大きく両腕を振り上げた。
ク「我々はしばしその鐘の音に立ち尽くした─！！！」
その結びにヒュウと口笛が吹かれる。
シ「あ───！！イカスぜ、ノーランド！！！」
ナ「素敵！巨大な黄金の鐘だって！」
ウ「おっさん、なんだよ！やっぱりノーランド好きなんじゃねェかっ！！！」
わははは、と笑い声が上がる。と、クリケットが部屋の棚から袋を取り出した。
ク「これを見ろ」
とん、と中心に置かれたそれにはっと目をあける。
ウ「うわっ！！『黄金の鐘』！！！」
キラキラと金色に輝くそれにナミの手が伸びた。
ウ「…で、どの辺が巨大なんだ？」
確かに、その鐘は両手に収まるほどの大きさしかない。首を傾げる私とウソップにクリケットが笑い声をあげた。
ク「─別にこれがその『鐘』というわけじゃねェ！鐘形のインゴットだ。これを３つ、海底で見つけた！」
ル「なんだよ、あるんじゃん黄金都市！！」
シ「そーいう証拠にゃならねェだろ。この量の金なら何でもねー遺跡からでも出てくる」
チ「『インゴット』ってなんだ？」
チョッパーが置かれた残り2つのインゴットに触れた。
ロ「だけど、この辺りに『文明』があった証拠にはなるわね。『インゴット』は金をグラム分けするために加工されたもの。それで取引がなされてたことになるわ」
なるほど、とその金色の鐘を持ち上げる。
ク「そう、それに前文にあった奇妙な鳥の鳴き声…おい、マシラ」
マ「オウ！」
ル「わっ！！まだあんのか！！」
ゾ「こっちのはデケェな！！」
袋の中から一際大きな金塊が取り出された。
ク「これで全部だ」
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作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
