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どうやらAは『足が悪い』ようだ。
それを聞いて、守一郎が驚愕する。
「そうなのか!?……その、任務中の怪我、とかか?」
「…いや、忍術学園に入学するより前の骨折が原因」
申し訳なさそうに聞く守一郎に、Aは簡単に答えた。
「へぇ…そりゃまたどうして?」
さっきまでは表情を変えずに答えていたAだが、この質問には少し困った顔をした。
「いや、それが…その……」
「そこにいるのはAと…三木ヱ門に守一郎じゃない。何してるの?」
Aの後ろから声をかけたのは綾部喜八郎。
「あぁ、喜八郎。今さっきAが足を…」
「A、もしかして転んだの?」
"足を滑らせて"と三木ヱ門が言おうとするよりも前に、喜八郎は反応を示す。
顔をしかめて、心配そうに、不安そうにAを見ている。
「まだ転んでないよ。華麗に受け止めてくださったのでね〜」
Aのその言葉に少し安心したような様子を見せるが、また不安そうな顔に戻る。
「……ねぇ、まだ治らないの」
「お医者さんもみんなも"歩き方に変な癖が出るかも"って言ってたでしょ。もう無理なんだよきっと。
……ていうか、そろそろ私の骨折の原因教えてくれたっていいんじゃない?」
「…知らなくていいって」
なんだか不思議な会話に守一郎が目を点々とさせる。
「えーっと、Aの足が悪いのは後遺症みたいなやつで…なんで怪我したのか知らないのか…?」
「まぁそういうこと。…なんで骨折したのか、私全く覚えてなくって。この人は知ってるみたいなんだけど、教えてくれないんですよねぇ?」
そう言ってAは喜八郎に指をさす。
「えぇ!?四年間一緒の三木ヱ門も知らないのか?」
「知らないな。入学前のことだし…喜八郎からそのような話は聞いたことがない」
"昔骨折したというのは本人から聞いたが…"と守一郎に返事をする三木ヱ門。
その会話を聞いて、喜八郎はどんどん顔が暗くなっていっている気がする。
"気がする"というのも、表情が全く変わっていないのだ。
「……Aは知らなくていいことなんだって。代わりに僕が覚えておくから」
その言葉は、なんだか盛り上がっているAたちには届いていなかった。
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こよか(プロフ) - ユカリのサブ垢さん» サブ垢からも!ありがとうございます🥹💕一華ちゃんの行く末もぜひ楽しんでください! (11月14日 21時) (レス) id: 5c650a97a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユカリのサブ垢(プロフ) - サブ垢からもコメント失礼します!一華ちゃんと綾部、、、これからが楽しみです! (11月5日 19時) (レス) id: d43a354229 (このIDを非表示/違反報告)
こよか(プロフ) - ユカリさん» ありがとうございます!更新が遅く申し訳ありません💦これからも読んでいただけるよう精一杯頑張らせていただきますので、ぜひ読んでくださると嬉しいです!♡ (10月12日 20時) (レス) id: bc8fd8e014 (このIDを非表示/違反報告)
ユカリ(プロフ) - コメント失礼します!ずっと前から見ててすごい好きです!久々の更新ありがとうございます! (10月12日 19時) (レス) id: 99bef8e01a (このIDを非表示/違反報告)
こよか(プロフ) - のんさんさん» ありがとうございます!本当に嬉しいです😭💕💕これからも精一杯頑張らせていただきます! (2022年12月1日 23時) (レス) id: bc8fd8e014 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こよか | 作成日時:2022年11月20日 2時