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「ただ、この薄まったチョコレート水をどうするべきかについて考えていたのだが」
「捨てないのカ？ これじゃあ飲むとしてモ、苦くて不味いゾ」
「後でコンビニかスーパーまで走る羽目にはなるが、案が無い事は無い。 そこまで難しい物ではない上、幸いまだ朝早いのもあって不可能ではないだろう」
「よく分からないガ、店に走るくらいなラ余裕ダ」
アタシはもうすっかり諦めていた鍋の中身を覗き込みながら、軍人の話を聞いた。
小難しい話を聞く気なんて普段なら起こらないであろうが、今日はどういった気分か真面目に解釈しようと精進する。それが結果につながるかはまた別の話とする。
冷蔵庫に誰かが買って入れておいたのであろうチョコレートが入っている事を確認する。この時間帯であれば、まず起きてくる物好きはそう居ない。これを一旦使わせてもらって、他のメンバーが起床する前に買って来て補充すればいいという算段。
細かい事を気にしない面々の事だから、きっと何も気にしない事だろう。気付いたとしても、その時謝ればいい。
「にしてモ、珍しい提案ヲするものだナ。 普段なら『自分の物は自分で調達しろ』とカ言いそうなものだガ」
「それは普段から自分で用意する手間を惜しもうとしているから注意しているだけだ。 はなから努力を放棄することは良くないだろう」
「ふーン、まァ分からなくはなイ。 ……あ、これ砕いた方が良いのカ？」
「多少砕いた方が良いが、キッチンでローラーを振り回すのは辞めておいた方が良い。 今取りに行こうと思っただろう」
「ゲ、バレたカ。 ナモでぶっ叩いた方ガ絶対早いのニ」
「チョコだけでなく、ボウルまで粉砕されるだろう」
アタシは何度か勝手な事をしようとしては事前に止められ、大事故が起きる前に正規ルートへ戻されていた。料理初心者にオリジナリティを求めるのはまだ早いといったところか、まずアタシには常識の範囲内でレシピ通りの物を作る必要があるらしい。
「ほんとニこれでお菓子になるのカ？ 砕いてレンジにぶち込んだだけだゾ」
「この後、氷煎してから冷蔵庫に入れればムースになる」
「よく分からないガ凄いナ」
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