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階段を下った先。
何千何万もの札の張られた異様な空間は、思ったよりも深くに位置していた。
本当にここは高専なのか？10年ほど高専と深くかかわってきたAでも、知らない場所はたくさんあるようだ。
「これは何かな？乙骨憂太君。」
到着してすぐのドアを開け、中に入るなり悟はポケットから人間では成し得ない曲がり方をしたナイフを取り出す。
目の前の少年。術師の返り討ち。彼に憑いている呪いがそうさせたことは容易に想像がついた。
乙骨と呼ばれるその少年はうずくまり、顔を上げることすらしない。
「ナイフだったものです。……死のうとしました。でも、里香ちゃんに邪魔されました。」
”里香ちゃん”それは呪霊につけたものなのか？被呪者が？
訳のわからない彼の言動と、彼から伝わってくる、少なくともAが勝てるはずのない特急相当の怨念がAを後ずさりさせた。
が、そんなAをおいて悟と乙骨の話は進んでいく。
「今日から新しい学校だよ。」
「行きません。もう誰も傷つけたくありません。だからもう、外には出ません。」
どうやら乙骨は制御できないこの状況に、外が。人が。怖いようだった。
「でも、独りは寂しいよ。」
彼の言っている言葉が何を指すのか。単に彼に言っているだけなのか。
Aは横目で彼を見るが、目を隠している彼から表情は読み取れなかった。
「君にかかった呪いは、使い方次第で人を助けることもできる。
力の使い方を学びなさい。全てを投げ出すのはそれからでも遅くはないだろう。」
半ば無理やりに同意させ、彼は寮へ入寮した。
彼の入学手続きすべくこれから彼女のオフィスになるであろう教務室。
彼女が何度も罰則で謝りに行ったいい思い出のない教務室へ向かった。
どうも違和感だらけだった。
何も変わらないはずの高専。だが、生徒と先生とではこんなにも見え方が違うとは思わなかった。
「少しは慣れた？A先生？」
「その言い方気持ち悪い本当に。」
「仕方ないじゃーん、本当に先生なんだから。」
そして隣にいるこの男も。
つい昨日別れた元カレだが、そうとは思えない馴れ馴れしさ。
しかしひしひしと伝わってくる”もう恋人じゃない”関係値。
歩くとなればすかさず手を握る彼。2人になれば片時も離れない彼。
「あぁ。なんでこうなったのか。」と昨日の自分を責めることもあるほどに、フリーになることの・彼を手放すことの代償を身にしみて感じた。
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こにしりおん(プロフ) - 0aa2t4497251v4jさん» お気遣いありがとうございます！どっちも頑張りますね。コメント嬉しいです (7月22日 3時) (
レス) id: bb58dec0f7 (このIDを非表示/違反報告)
0aa2t4497251v4j(プロフ) - 社会人一年目はしんどいのでゆっくりで書いた方が良いですよ。私生活優先です。ゆっくり仕事に慣れて下さいね。無理なく頑張って下さい (7月21日 15時) (レス) @page36 id: b21cc666ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年3月11日 4時
