葉月。 ページ34
Aは、沖縄に居た。
Aら主体の修学旅行だ。
本来であればAらが四年の年は北海道に行く予定であったが、Aの我儘が発端で沖縄となった。
3年の時グアムにいたAは修学旅行に行っておらず、北海道がいいと言い張る伊地知に呪力勝負を持ち掛けて辞退させたAが変更権を勝ち取った。
ラッキーと言わんばかりに2年連続の沖縄を楽しむ2年に、風香たち1年。
3年もあれば沖縄の街並みも変わっていたが、流れていくバスに悟と片耳イヤホンをしたあの日のことを思い出した。
Aが一年の時海で遊んでいたように、風香たちは遊び、Aは当時疑問で仕方がなかった硝子の日陰から写真を撮る係に徹していた。
夜にはバーベキューからの花火。酒は飲まないように我慢した。
そこには大人であるのに学生と変わらないほどにはしゃぐ悟の姿があり、ふと昔に戻った気分になった。
そしてあっという間に過ぎ去った修学旅行最後の夜。
明日の飛行機が早いので早々と部屋で寝かせられた後輩たちに聞こえぬよう、一人部屋の扉をそっと閉めると、一人一つ上の階へと上がった。
ノックするとすぐに応答があり、中から目隠しをしながら部屋着の悟が出てきた。
「どうしたのこんな時間に。」
「ひま。」
「僕暇じゃないんだけど。」
「デリ〇ル呼ぶから？2年前は勝手に押しかけてきたのに？」
「はいはい。」
諦めたように部屋に入れた悟は、窓際のふかふかとした大きな一人がけのソファーに座り、Aは同じようについになっておいてあるソファに腰かけた。
買ってきた酒を取り出し、缶を開けるとぐいぐいいつもの調子で酒を喉に流し込んだ。
「普通に絵面的にやばいんだけど僕。」
「生徒と2人きりの部屋で飲酒。五条先生ならそんなモラルきにしてないでしょ。」
「失敬な。僕はもうそんなやんちゃしてません。それに普通に危ないよ？こんな深夜に男の部屋に女一人で入ってきて酒飲むなんて。」
「ふーん。」
「僕は忘れてないよ。何も。」
帰ってきたあの日と同じセリフを吐く悟。
しかしこの状況下においての"何も"は、違う意味を体現していた。
「私は忘れた。」
「へぇ。」
「でもさ。」
Aは海外生活があったからだろうか。
自然と動いた身体は、ふかふかで座れるほどに広い肘置きに膝をついて悟に顔を近づけると、目隠しの包帯をするりと外す。
「私、まだ間に合うと思うの。」
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こにしりおん(プロフ) - 0aa2t4497251v4jさん» お気遣いありがとうございます！どっちも頑張りますね。コメント嬉しいです (7月22日 3時) (
レス) id: bb58dec0f7 (このIDを非表示/違反報告)
0aa2t4497251v4j(プロフ) - 社会人一年目はしんどいのでゆっくりで書いた方が良いですよ。私生活優先です。ゆっくり仕事に慣れて下さいね。無理なく頑張って下さい (7月21日 15時) (レス) @page36 id: b21cc666ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年3月11日 4時
