神無月。 ページ32
「おめっと。」
まるで英検三級に受かったかのような、軽い口調で言われたそのおめでとうは、Aの一級昇格を祝っているとは思えない程軽々しかった。
「もっと祝ってよ。」
あれからすっかりと仲を取り戻した悟とAは、ついに気持ちの悪い僕っ子の悟を軽蔑する意味を込めて始まった互いにため口の関係。
夜は後輩を交えてゲームをし、伊地知の送り迎えでたまたま一緒になれば夕食をして帰る。昔に戻ったように接していた。
「だって最強の僕の足元にも及ばないんだもん。」
足元という単語あたりで飛んできていたAの蹴りを軽々しく無限ではじくと、さっさと伊地知の待つ車の元へ歩き始めた。
車に乗って伊地知に祝われながら、Aは記念に一人寂しく人並みに自己顕示欲も自己愛もあるので、自分に向けて1か月前に買えたばかりのアイフォン4のカメラを構えた。
すると、そのカメラを少し右に傾けられ、画面の右上には悟の顔が映る。
「邪魔しないでよ。」
「一級合格祝い、嬉しいだろ。」
勝手にシャッターを悟に押されると、そこには目隠しをした変人と、その変人に対して怒った顔のAが映っていた。
「うれしく無。」
「かわいくねぇな。昔は悟先輩〜！写真撮りましょお〜！(正;「先輩、写真撮りましょ。」
)って言ってたのに。」
「どこの女と間違えてんの。」
そう言って車を揺らしながら喧嘩する悟とAに、伊地知はまたかと呆れながら車を走らせ、高専へと到着した。
今日はそのまま体術の時間。
今日は二年もおらず、1年の男子もおらず、もうすっかりと仲良くなった結雨と風香との体術だった。
昔の悟にAが向けていた憧れ、硝子に向けていた尊敬。
それを感じられては随分自分も年を取ったなと思ってしまった。
我ながら後輩づきあいの良いAは、体術の後には悟がしてくれていたようにジュースを奢り、労をねぎらった。
「先輩！」
「どうしたの？」
風香は少し照れ臭そうに、Aを見る。
「ご、五条先生かっこいいと思いません？」
「え？」
「私もかっこいいとおもうんです！風香はそれだけじゃないみたいだけどねー！」
きゃっきゃと騒ぐ彼女らに、Aは一瞬ぼーっとする。
昔の自分と日葵だ。
そして、忘れかけていた悟への気持ちを、問われると共に思い返す。
「マジ屑だよ。観賞用。」
「えぇー！その屑さがいいんですよ！」
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こにしりおん(プロフ) - 0aa2t4497251v4jさん» お気遣いありがとうございます！どっちも頑張りますね。コメント嬉しいです (7月22日 3時) (
レス) id: bb58dec0f7 (このIDを非表示/違反報告)
0aa2t4497251v4j(プロフ) - 社会人一年目はしんどいのでゆっくりで書いた方が良いですよ。私生活優先です。ゆっくり仕事に慣れて下さいね。無理なく頑張って下さい (7月21日 15時) (レス) @page36 id: b21cc666ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年3月11日 4時
