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「私はあまりこういうことは得意でないのですが。」
Aとしっかり距離を空けつつ優しく背中を摩る七海の手は暖かく、その手はAの崩れていくメンタルを少しだけやわらげた。
あまりにも七海が素直に落ち着かせてもらえるものだから、移動と久しぶりの日本にはしゃぎすぎたAは座ったまま寝てしまい、七海はそのまま起こさぬように彼女の部屋を出た。
靴を履きながら廊下へ出ると、先ほど一連の動作を見ていた影。悟が立っていた。
「七海が女の部屋に、ねぇ。」
「なんですか五条さん。」
「別に？」
「どうせ気になってきたんでしょう。気になるなら許してあげてください。」
七海が閉じる扉の向こうで座ったまま眠っているAを、悟は扉越しに目線だけのぞき込む。
「は？俺に指図する気？」
「いいえ。率直に思ったことを言っただけです。では。」
淡々と答えて去っていく七海に悟は、糞ッと言葉を吐き捨てる。
そうできるならすでにそうしているのに。
本人はそんな自分の真意に気づいていないが、おおむねそう思っている。
何故なら彼女は彼にとって普通の友達ではないからだ。
翌日。Aは起きてから七海へのお礼と悟への謝罪のメールを送ると、交流会へ挑む。
等級の高い東京校の七海とAの2人に対し、京都校は強くて2級の5人。
結果は東京校の圧勝に終わり、その日の夜に打ち上げをしたが悟が現れることはなかった。
最終日。11時の便に間に合うべく空港へ補助監督に送ってもらったが、七海は任務、伊地知は付き合い悪く、硝子は医師としての任務があり、一人寂しく搭乗券を発券した。
一方、硝子の元で愚痴を吐く悟は、硝子から聞いた出発までの時間をガラケーで何度も何度も見ては怒られていた。
「もうそれ好きじゃん。」
「なわけねーだろ、ガキには興味ねぇよ。」
「ならそんな乙女な事しないだろう。もうすぐA出発だけど。」
「だから何だよ、俺は眠ぃの。」
「後悔するぞ、お前。」
ﾋﾟｼｬﾘとそういわれてしまえば、悟の動きは止まる。
女一人に対してここまで頭を悩ませるとは、悟本人が思ってもいなかった。
花火の日、キスしようとしたが何故かできなかったあの時。Aの身体能力じゃあの塀は超えられると分かっていたが手を差し伸べた瞬間。片耳イヤホンを貸したあのバスの中。戦慄迷宮を回ったあの時間。
全てが指し示すのは、悟にとってAが特別であるということだ。
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こにしりおん(プロフ) - 0aa2t4497251v4jさん» お気遣いありがとうございます！どっちも頑張りますね。コメント嬉しいです (7月22日 3時) (
レス) id: bb58dec0f7 (このIDを非表示/違反報告)
0aa2t4497251v4j(プロフ) - 社会人一年目はしんどいのでゆっくりで書いた方が良いですよ。私生活優先です。ゆっくり仕事に慣れて下さいね。無理なく頑張って下さい (7月21日 15時) (レス) @page36 id: b21cc666ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年3月11日 4時
