神無月。 ページ1
すっかり静かになった高専は、賑やかだった校舎から一転枯葉の転げる音ばかり。
あれから日葵から連絡など来るはずもなく、Aはただひっそりと呪術師2級へと昇級した。
体術は七海が伊地知を教えるようになったのだが、伊地知は呪術師適性がないと将来の進路を補助監督へ決めたようだった。
七海も覇気がなくなり、めっきり談話室には顔を出さなくなった。一度Aが聞いたときに高専を卒業したら一般人として生きていくと言っていた。
もうバラバラだ。
何もかもめちゃくちゃであった。
何もかも満たされていた半年間は何だったのか。
夢だったのだろうか。
そう思えるほどにあの日を境に見違えた。
ズルとして硝子は医師の免許を習得したのだが、煙草の本数は増える一方。夜も部屋を空けることが多くなった。
唯一変わらないのは悟とAの仲の良さ。
会えば煽りあっては冗談を言って、楽しそうにするが、それを笑っていた2人はもういない。
虚しさからウケ狙いよりも、普通にかかわることが多くなった。
しかし、夜のゲーム大会もめっきりなくなり、各自の部屋で過ごしていた。
「はぁ。」
今日もまたAは一人で課題を解く。
頼れる日葵がいない今、伊地知もあまりAに関わってくれない為、板書し、着実に課題をこなしていた。
いつでも日葵が帰ってこられるようにと、いつも伊地知の隣。Aの左前の席は空けたままだ。
帰ってくるはずがないのに。
帰ってこようものなら彼女は処刑だ。
このような淡いあってないような期待をしているのは、Aだけ。Aの一方通行なのに。
何となく彼女の席を空けておいた。
馬鹿馬鹿しいだろう。でも、それだけが唯一彼女へ残った気持ちの表れだった。
明日もまた強くなるために早く起きて筋トレ。
夜蛾に貰った練習用の呪骸で様々な格闘をして、授業。体術。任務。
青春を失った彼女は、火を見るよりも明らかに着実に、実力をつけていった。
静寂を極めし神無月。
寒さが厳しくなっていく頃に花を咲かせるつわぶきのように、努力に花を咲かせる。
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こにしりおん(プロフ) - 0aa2t4497251v4jさん» お気遣いありがとうございます！どっちも頑張りますね。コメント嬉しいです (7月22日 3時) (
レス) id: bb58dec0f7 (このIDを非表示/違反報告)
0aa2t4497251v4j(プロフ) - 社会人一年目はしんどいのでゆっくりで書いた方が良いですよ。私生活優先です。ゆっくり仕事に慣れて下さいね。無理なく頑張って下さい (7月21日 15時) (レス) @page36 id: b21cc666ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年3月11日 4時
