君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ9)

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…あれからどうなったかというと、悟のゲームオールに付き合わされ、七海や伊地知、硝子を除いた5人が談話室をずっと賑わせていた。
入学翌日から授業を寝ながら受けるAは何度も先生に怒られ、とうとう夜蛾に呼ばれてしまった。

「入学翌日から朝から夕方までの授業を全部寝るとは良い度胸だな。」

「まあ、そんな日もありますよねせんせ…」

半分ふざけて言い訳していると夜蛾の呪骸が飛んでき、Aは咄嗟にガードした。

「まぁ、何はともあれあの事件から精神が病んでないようで安心はした。」

「呪術師はいつ死ぬか分からないので!どうしようもないことですし。八九寺の名に恥じないよう頑張ります。」

「なら早速だが任務に行ってもらう。2級手前の準2級と聞いている。同じくらいの等級の七海と一限から任務だ。初日教えた通り、校門前に9時。5分前には着いておくように。」

「わかりました。」

中学とは比べ物にならないほど楽しい学校生活(まだ2日目だが)。
気づけば日が落ち始め、お腹が空いてくる。

「Aーーーー！」

寮の近くに戻ると、日葵が大きな声でAのことを呼んで手を振ってくれた。

「課題しよおおお！」

「する！」

彼女に招かれ日葵の部屋に勉強道具を持っていくと、ほんの少し出た課題をする。
ほんの少しであるのに様々な話で会話が弾んで時間がかかってしまうことに、この上ない幸せを感じた。
夕食を終え、共用風呂で一日の汗を流すと、あすの任務に向けて早めに眠った。

…翌日。
7時ぴったりに起きたAは、準備をばっちり終えて任務に臨んだ。

「七海先輩よろしくお願いします。」

「改めて、よろしくお願いします。」

生真面目という言葉がよく似合う彼は、きっちりと制服を着、なんというか悟とは真反対な印象である。

「今日は貴方の見守りとして呼ばれています。しかしサポートが欲しければ手伝います。」

「わかりました。頑張ります。」

補助監督に乗せられた車の中、彼は取っ付き憎い伊地知のようなタイプだと思っていたAだが、一対一で話してみるとあちらから話を振ってきたりと、関わりにくいタイプではないと思った。

「到着しました。帳をおろします。」

呪術高専から30分。
到着したのは廃トンネル。心霊現象の多発で人通りの減ったこのトンネルは、大体準２級術師でギリギリ倒せる程度のAの等級からすると少し難易度の高い呪霊がはびこっているらしい。