君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ8)

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「Aちゃん！お肉どうぞ！」

「私貰いましたよ、灰原先輩が食べてください！」

乾杯から始まり、ホットプレートにぎっりちと焼かれる肉。
灰原と日葵の鍋(？)奉行によって何パックも積まれた肉はすぐに無くなっていく。

「やっぱり焼肉はエ〇ラ焼肉のタレですよね。」

「お！A分かってんじゃん。」

「お金持ちのお家も焼肉のタレはエ〇ラなんですね。」

「Aの圧倒的なエ〇ラファンなんなの(笑)」

Aと悟のゲーム騒ぎからすっかり打ち解けたAと日葵は、他愛のない話をしながら全学年でホットプレートを囲む。
といっても、しっかり後輩として食材の補充や机の整頓をしつつ楽しんだ。
硝子と傑がしきりに酒を飲んでいるのが少し気になるところだが、その話に触れることはまた今度にしておこう。

「桃鉄するぞー。」

焼肉の後に皆アイスを食べてほっこりしたところで悟の提案に乗らない人はいなかった。
桃鉄は４人。部屋には８人。余りの４人が片付けすることになるため、Aは率先して片づけを始める。

「灰原先輩、ゲームしてきてください。いろいろしてもらったので。」

「いいよAちゃんやってきなよ！」

「あ？Aお前は確定だろうが。」

悟の俺様具合が本調子を発揮してきたようで、Aはそんな彼のスタンスに委縮する。
Aばかりゲームしていては申し訳なくてたまらないのだ。

「じゃあ日葵と交代でやります！最初日葵やっといてよ！」

「え、私桃鉄よくわからないよ。」

「夏油先輩。日葵に教えてあげてください。」

「傑でいいよ。わかった教えるよ。」

なんとか推しとの関わりを作ってあげたAは、泣きそうな日葵の背中を押して片づけを始める。
プレイヤーは悟・傑・雄(時に健人)・日葵(時にA)で始まった。

「七海先輩はゲームとかしないんですか？」

「灰原にやらせたほうがいいので。」

「下手なんですね。」

「否定はしません。」

片付け班の七海とそんな話をしながら、傑の隣で教えてもらう日葵の写真をコッソリ収める。

「A～交代！」

「えぇ、私はいいよやりな。あと何年？」

「あとー、97年。」

「は？100年桃鉄じゃん日葵が設定したの？あほじゃん(笑)」

「え、あ、違…。」

「あ？？悪かったなクソガキ」

「あっ。」

設定したのは悟だったようで、絶体絶命のこの状況にAはしばらく言い訳を考えたが諦めることにした。