君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ7)

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硝子の役割分担を遮るように悟と傑の会話が挟まれる。

「一人でやればいいじゃないか。私は横で書いてるから。」

「なんでだよ、」

「じゃあAは五条の相手ね。」

「え？」
「え？」

硝子の割り振りに部屋にいた全員が手を止める。

「いや硝子先輩、私も手伝いしないと。」

「五条に付き合うのも手伝いだよ。じゃ、」

報告書を出す傑、ソファにどかぁっと座る悟、2人に並ぶようにソファの下に座ると、サトルとのマ〇オブラザーズが始まった。

…だが緊張していたのもほんの最初だけ。1時間もすれば米の炊けるいい香りが漂い始め、それに加えてゲームのほうは騒がしくなっていた。

「わ！！悟先輩！！落とさないで！！！！！」

「落としてねえよお前が勝手に落ちたんだろ！」

「今のはAが勝手に落ちたね。」

「嘘だ！」

先ほどの緊張はどこにいったのか。ゲームが下手ではないAは悟と共に途中からのため6－2であったが7面まで来ていた。
途中から悟(マ〇オ)がA(ル〇ージ)を背負って溶岩に投げ込んだり、逆にAが悟の行く道を壊したりと、悪戯が始まり、傑の報告書を書く手は止まっていた。

「俺のせいにすんなよ雑魚。」

「日頃の行いですよ先輩、」

そう言ってまたAが悟の着地地点の踏んで3秒後に落ちるブロックを落とせば、悟はマグマに落ちていきそれを見ていた一同は笑った。

「そろそろ2人とも残機少ないんだから真面目にやりな(笑)」

硝子のアドバイス通り、残機はわずか4。最後のゴールの旗の一番上に捕まって残機を1増やしたほうがよさそうである。

「A、お前ここは協力しろよ。」

「先輩こそ、これ失敗したら悟先輩のせいですよ。」

どちらか一方が旗に捕まればいいので、Aは踏み台になれる位置に着く。

「私土台になるから行ってください。」

「気が利くじゃねえか。」

「絶対失敗しないでくださいよ？」

誰に言ってんだと言わんばかりの顔をしながら画面に向き直る悟を見ると、Aも少しだけ集中する。
そして悟のジャンプに合わせて踏み台のAがジャンプすると、マ〇オは高くジャンプすると…

" 1 UP ! "

残機稼ぎに成功したAと悟は自然と向かい合いハイタッチした。
おらついた雰囲気が少し怖かったAはすっかり悟と仲良くなり、気づいたらほとんど出来上がっていた準備に申し訳なさを感じつつ、PS2の電源を切った。