君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ40)

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「これまじでおいしいですよ、知ってます？」

「ポテチ？」

「ロイズのチョコです！チョコがついたポテチなんですけど、本当においしいんですよ。あと、先輩なら絶対この雪塩のちんすこうの味気に入ると思いますよ。」

沖縄に来たのが初めてでないAは、子供舌同盟として様々なお土産を教えた。
飛行機中、日葵と撮った写真の交換を赤外線通信でやっていると、日葵がたくさんAと悟が2人で歩いたり、喧嘩したり、話している写真を撮っていて、きゃーきゃーと騒いでいると声が大きいと夜蛾に怒られ、静かにしようと前を見たとたんにAは眠った。そんなAの顔もまた、日葵は写真に収まっていた。

3日間ねている間以外ずっとうるさかった一行は、初めて静かな時を迎える。
その間硝子がフォルダの確認をしていると、初飛行機にビビる日葵と伊地知。
平面エスカレーターを逆走しようとするA。
ビーチで本を読む七海に、埋められる傑。まとめて花火に火をつける悟に、朝めちゃくちゃ機嫌の悪そうな日葵。
グラスボートに乗って楽しそうにサンゴを見る悟や日葵、A、不参加組のしらけた雰囲気。
バーベキューの準備から楽しそうな一行、片づけを放棄する悟。
星の砂の写真に、集合写真。
先ほどの騒がしさが嘘のような、一人残らず眠った飛行機の写真。で写真の数は200枚を超えた。

明日からまた学校だ。
定刻に起きて授業を受け、任務に行き、夕食からゲームや課題をして眠る。
そんな毎日がまた始まるが、3日間でぎゅっと縮まった皆の距離に、互いがあすからの生活が一層楽しみになった。

カラッと乾いた夏の空。
彼ら彼女らの青春はまだ続く。

記憶紡がれる葉月。
燃える想いは沈黙を保ったまま恋煩いを煩わせる。
まるでこの残暑のように、長く、心地の良いままに。