君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ36)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:58,310 hit

‣ ページ36

「「ぎゃああああああああああああ」」

手になまこを持っていた悟に対して、Aは目の前にそれを出されると夏休み中ずっと取り組んでいた走り込みの成果を発揮し、爆速で逃げ去り、隣で飛び火を食らった日葵は逃げ遅れ、白い砂浜で盛大にこけた。

「きもちわるうう！！！！日葵大丈夫？！それをいじめって言うんですよまじ性格悪い。」

前からべしゃっといった前面真っ白の日葵を起こすと、一緒に砂をはらいながら悟に言う。

「こいつマジキモイよな。これ最初に食った人間バカだろ。」

摘ままれたなまこは、うにうにと動いていて気持ちが悪い。
悟はなまこを海に投げ捨てると、「最低だ」という言葉を全員から浴びせられた。

…それから夕暮れまで。硝子と七海はパラソルの下で写真係。
Aらは小学生に戻ったように、無邪気に遊びに遊んだ。
写真に写るのは、バレーで喧嘩する悟と傑。またもや転んで真っ白になった日葵。浮き輪に浮かぶA。なまこを持った悟に追いかけまわされる一年達。
スイカ割をする灰原に、全員で囲んで食べる様子。遊びに行こうと七海を引っ張る灰原に、日焼け止めの塗りなおしをし合う日葵とA。

「先輩無限使ったら海でも濡れないんですか！」

「当たり前だろ。」

悟の無限で遊ぶA。
暑さや日頃の呪霊との戦闘なんて忘れた16から18歳の男女達をカメラは映しだす。
危険や死なんて関係ない普通の高校生の姿がそこにはあった。
…しかし。

「八九寺。楽しんでいるところ悪いがついでに任務に行ってくれ。」

「え？本気ですか？」

Aの海遊びは沖縄内で任務にあたっていたのだろう夜蛾によって終了する。
話を聞いていると、2級相当の任務がちょうど現在地から30分ほどのところにあり、2級昇級手前にまで成長したAが行くべきだということだそうだ。

「あと3年、誰かついていけ。」

まだ等級が準二級であるため、夜蛾の目線が3年に向くと、傑と硝子の目線が悟に向き、Aの保護者が決まった。

「はあああああああああああ？」

どこまでも続いているような夕暮れの空に響いたのは、悟の面倒そうな声であった。

～～

「なんかすみません。私の任務のせいで。」

「んとだわ。これは見返り必要だわ。」

「げ。」

マッサージやらパシリやら。
いつも要求される見返りにAは顔をゆがめる。