君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ3)

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卯月。ページ3

「今日一年生が引っ越してくるらしいよ。」

「え、マジですか！」

新学期まであと1日を残した日、朝から部屋でネイルを硝子に塗ってもらっていたAは、同年代の登場に声を上げた。

「男子女子一人ずつらしいね。」

「やった！男の子かっこいいですかねえ。」

「学生恋愛、若いね。」

「硝子さんは学生恋愛しないんですか？」

「同級生があれだけド屑だとする気もなくなるよ。」

「会う前から硝子さんにそれだけ屑屑言われたら私どんな顔して会ったらいいんですか。」

「二年はいいやつらだよ、安心しな。」

そんな話をしながらトップコートまで塗り終わり完成したネイルに喜んだ頃、廊下から聞こえてきた話し声にAはドアを開けた。

「あぁA。今ちょうど呼び出そうとしていた。」

声の主は噂の同級生2人と、夜蛾であった。

「初めまして！私星野日葵(ﾋﾏﾘ)って言います。よろしくお願いします。」

「日葵ちゃん、私は八九寺A。よろしくね。あなたは？」

注がれた目線に少し縮こまった様子の男の子は顔を上げた。

「伊地知潔高です。よろしくお願いいたします。」

「潔高くんね！」

「…伊地知と呼んでいただけると、ありがたいです。」

「わ、わかった。」

どう見ても15歳には見えない彼は女子と関わるのが苦手のようで、委縮しながら自己紹介を終えた。

「一年はお前たち3人だ。仲よくしろよ。A、日葵にいろいろ教えてやれ。」

「はあーい！」

伊地知を連れて男子寮へと歩いて行った夜蛾を見送ると、さっそく硝子と共に高専のことを話しながら荷解きを手伝い、夜まで続いた笑い声は高専の静かな寮を明るくした。
新生活の第一歩を中々いい調子で切り出したAは、この一生の学友となるだろう彼女らを思いながら目を閉じる。
明日から高校生。そして呪術師の卵。亡くなった祖先たちを安心させられるような呪術師になろうと心に決めて眠りについた。

〇人物紹介

　名前星野日葵

　術式札を使った魑魅魍魎(ﾁﾐﾓｳﾘｮｳ)退散術。(ｵﾘｼﾞﾅﾙ)

　等級 3級ついたばかり。

　家柄一般家庭。日葵が初の呪術師。

　其他ごく普通の女の子。