皐月。 ページ18
「ねえもう無理ーーーー。」
談話室。硝子、A、日葵、伊地知(嫌々)、灰原、七海(嫌々)にて大きな机に各自ノートを広げ、喋り6割勉強4割でテスト勉強をしていたところ、最強2人、傑と悟が任務から帰ってきて賑わいを極めていた。
硝子はまだ高校3年の内容といいつつも、一般高校ほどのレベルを要求しない呪術高専であるため、教科とテスト範囲はとても狭められたものである。
しかし一年二年は量が多く、特に勉強がそれほど得意でないAには酷なものであった。
「おいA桃鉄すんぞ。」
「先輩ばかなんですか？明日ですよテスト。」
「抵抗しても無駄だっつーの。補習でも受けてろ。」
硝子同様、テストがあってないようなものである悟は、すかさずAの邪魔をしようとコントローラーを持ってくる。
そして日葵や伊地知がせっせと硝子に教えて貰いながら勉強している隣で、悟という名の魔の手に乗るか葛藤するA。
「葛藤してる時点で無理だろお前。」
「……。」
ゲーム大好きなAは、悟の甘い誘いに乗せられてコントローラーを受け取る。
「A！テストだよ！五条先輩の誘惑に負けないで！」
「…ごめん日葵。無理。」
「さすがA！やんぞ！」
悟はそう言ってAの肩を抱くと、テレビの前に連れてくる。
それに照れている彼女なんて気にもせず、セーブデータを引き出し、100年桃鉄の続きを始めた。
「おい、A。お前の番だろうが。」
…時はそこから流れ、硝子日葵灰原はわいわい勉強しながら寝てしまい、夏油はその隣で携帯を弄りながら寝、七海と伊地知は自室へ戻った。
その日体術で朝から夕方まで埋められてしまっていた一年二年はすやすやと机に伏して寝ている。
勿論例外でなく疲れていたAもまた、悟の足元で船を漕いでいる。
悟の座るソファの足元ですやすやと眠るAを見て悟は、他にも起こすべき人はいるが、どうしてか彼女だけは起こさなければならない気がして体を揺さぶる。
「…ん、？」
夢の世界から戻ってきたAは、段々と状況を把握して大きく伸びをする。
福岡の目の前で止まっている自分の列車の後ろには悟が迫っていて、ゴールの長崎まで秒読みというところで眠ってしまったようだ。
「すみません、私。」
「疲れてんだろ。」
「体術張り切りすぎちゃって、勉強もしなきゃ……。」
「ちょっとついてこい。」
「え、ちょっと、え？先輩？」
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年2月9日 4時
