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どこが2級なのか。これは3級案件だ。
Aは歩きながら苦無を操り、ほいほいと息をするように祓っていく。
「お前さ、」
「なんですか？」
散歩のように祓いながら2人は会話をする。
「悲しくねえの。家族全員殺されて。」
「悲しいですよ。」
硝子から聞いているが、Aは事件当日からそこまで大ダメージを受けているようには思えなかった。
それよりも新しい出会いに向き合い、楽しそうにしている。
あまり常識的に聞くことではないが、悟だからこそ聞けたのかもしれない。
「父や母、祖父母に小さいころから言われて育ってきたんです。呪術師はいつ死ぬか分からないから、別れより出会いを大切にしろって。
勿論悲しいけど、みんなと楽しく過ごすのが楽しいのでそっちに集中するようにしてます。」
「そうかよ。」
悟はそれからこの話題に触れることはなかったが、どこか引っかかった様子でAを見つめていた。
その間にもAは3級の呪霊を苦無で貫き続け、怨念の籠っていそうな場所へと歩いていく。
屋上までどうにか上り詰めたとき、Aが足を止め、それに気づかず悟はAにぶつかる。
「……。」
どう考えても2級とは思えない強い怨念の塊から成る呪霊に、Aは悟が背後にいるにもかかわらず後ずさりする。
出会ったことのない気持ちの悪い呪力量に恐怖を覚え、思わず悟の制服の端をつかむ。
しかしここで怖気づいては成長にならない。Aはこのどうしようもなく襲ってくる恐怖を振り切ると、悟に教えてもらった通りの踏み込みで呪霊に立ち向かう。
「おい待て！」
悟の静止する声は聞こえないふり。
彼が静止する理由は一つ、目の前にいる呪霊は1級相当であるからである。
それでも立ち向かうAは、ずば抜けた回避スキルで回避しては攻撃こそ微力ながらも、怪我をすることなく飛び回っていた。
しかし、悟の六眼にはわかる。彼女の呪力は雑魚を30分近く刈ったことで半分は消耗しており、この呪霊を倒すことに残り2割。…3割でできることは少ないと。
「……邪縄呪法・簡易領域。」
浮かんだ５つの苦無がAの目の前に大きな五角形を作り地面を刺す。
「悟先輩？」
「？」
予測不能な彼女の行動を見守っていると、不意に呼びかけられ悟は彼女の目を見る。
「あとは頼んます！」
呪力が底を尽きることが分かっていたAは、あとを悟に任せて簡易領域を完成させる。
「
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作者名：こにしりおん | 作成日時：2022年2月9日 4時
