君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ14)

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「おっそ。」

あれから数日。食事や談話室で何気に会うことのなかった悟を待って12分。
今日は悟監督のもと実力以上の等級ではあるが2級案件を倒しに向かうため、朝の10時から校門で待っていた。
柄になくあの整った顔に会うために身なりを整えてしまう腹立たしさと、悟の微妙な遅刻の腹立たしさが相まってAはイライラしながら携帯を触っていた。

「おつー。」

「最強も朝には弱いんですね。」

「そう怒んな、アレは？」

「ちゃんと持ってきましたよ。」

今日は車で片道三時間かかる山奥の廃校舎。
その為硝子伝いにメールで送られてきた持ってくるものを、Aはしっかり持参していた。

「お前デコりすぎだろ。」

「どう考えても可愛いでしょ。」

DS。そう、彼は硝子伝いに暇だからDSを持って来いと命じていたのである。

「カセットは何持ってきたんですか？」

「ほらよ、」

渡されたカセットケースにはポケ〇ン、カービ〇、マ〇オ、ヨッ〇ーアイランド、どう〇つの森…そして。

「柔らかあた〇塾？ちょっとDSで頭良くなろうとしないでくださいよwwww」

「あ？舐めてんのかァ？！」

「面白wwww」

しきりに笑うAに腹を立てていると補助監督から静かにしろと言われて悟は歯切れの悪そうに黙る。

「なにしますか？」

「ん、」

悟が取り出したカセットは「マリ〇カート」
Aも同じカセットを自分のカセットケースから取り出すと、ゲームを起動した。

…わいわいとゲームをやり続けて2時間。
車酔いをするタイプでないので、気づけば到着しており、これを最後にするからと補助監督を待たせてから任務の地に降り立った。

「あー、、、」

如何にも「います」という雰囲気の木造の廃校舎。
Aは太ももにつけている苦無を取り出すと、補助監督のおろす帳を待った。

「そういえば悟先輩は私が八九寺って、その六眼でわかったんですか？」

「当たり前ェだろ。」

「便利ですねえ、いろいろ見えすぎちゃうからサングラスしてる的な？」

「頭居てぇんだよ見えすぎて、これ終わったらお前肩揉みな。」

「は？勘弁してくださいよ、私に勝ってから言ってもらっていいですか？？」

「お前マジで可愛くねえ後輩だな祓うぞ。」

「はー怖い先輩だわ、無理無理。補助監督さんありがとうございますいってきまーす。」

ぷんすか怒っている悟を置いて帳の中に入ると、すでに何十もの呪霊がAを待っていた。