君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ13)

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「攻撃受けた後の切り替えしにその足使え。」

「こうですか？」

不意に聞くために振り向くと想像以上に近い顔に整った顔。
ぱっと目があえば、そのサングラス越しに見える美しい瞳に見入ってしまう。

「俺に惚れてんなよガキ。」

「桃鉄では私にぼろ負けするのになあって思ってただけですよさ・と・る・せ・ん・ぱ・い。」

「はーーーーーーそういうこと言っちゃう？」

「喧嘩すんなよ。」

引き気味の硝子の声にAははっとすると、武力行使しようとする体制をやめる。

…そんなこんなであっという間に過ぎた体術は昼ご飯の時間までみっちりと続いた。
認めたくはないがAの格闘術はこの3時間だけでも格段に向上し、悟の言うことを100はできないが50できるようになり、体力消費も減った。

「随分仲良くなったようだね2人とも。」

「生意気なガキに悟様が優しく教えてやっただけだよ。」

「私次は傑先輩に教えてもらいたいですね。」

「あ？なんだよクソガキ。」

「こわーーーー硝子先輩助けて～。」

この数時間で仲よく？なった2人の会話に笑いつつ傑の解散の言葉に解散すると、悟と傑は1年3人と硝子に背を向け校舎へと戻っていく。
これは好機だと思ったAはニヤリと笑うと、教えてもらった通りの踏み込みで悟めがけて飛び蹴りをかます。しかし、

「…それでさ、」

傑と話をつづけたまま悟はAを止めると、ぽーいと投げ捨てるように投げ飛ばした。
またもや復讐失敗するが、Aはお構いなしに悟へ飛び掛かっていく。
片手で相手にされながらもAの思う全力で臨んだが、やはり両手で対応してもらえることはなく、ついにはグランドにへばりつくAを見かねて硝子がしゃがみ込む。

「アレに勝とうとするからだよ。」

「むかつくううううううううううっ！」

昼食のいい香りがし始めた校舎に響いたのは、寝そべったままのAの悔しそうな雄たけびである。

……一方悟はというと、真剣に自分の話を聞きつつ、実践ではどこか楽しそうなAの顔が不覚にも魅力的に思え、その事実を認めぬよう傑と足早に寮に戻っていった。