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『私にできることだったら何でもするよ』
そう微笑んで取り込んだ洗濯物をたたんでいる。
「…俺じゃなくてもするん?」
浦島坂田船のマネージャーだから、ここまでやってくれるのだろうか。
熱が出ているからか、少し弱気になっている。
『…ここまでは、しないかなぁ』
少し悩んだ後そう答えてくれたA。
『志麻だから、家に来てまで看病したいって思うんだよ』
驚いてAの方を見ると少し顔を赤くしている。
本当は今すぐにでも抱きしめて気持ちを聞きたいのに体が言うことを聞かない。
「なぁ、Aこっちきて」
『は、ぁ?』
「な、お願い」
少し甘えた声を出すと顔を真っ赤にしたまんま近くに来てくれるA。
「俺だからここまでしてくれんの?
なんで?」
『志麻が、特別だから』
「ちゃんと言ってくれなきゃわからんで?」
『この身体は貴方の為に
そう思ってるくらい志麻のことが好き』
思っていたよりもAの答えが情熱的で一層顔が赤くなる。
これ、熱も上がってるんじゃないか。
「…あー、思ったよりAが俺のこと好きでいてくれて嬉しいわ」
力なくAを引き寄せてそっと抱き締める。
「俺もAが好きやで。
今まで口説いたりとかしとったのも、冗談ちゃう」
知ってた、と言って俺の肩に顔を埋めるA。
『知ってたけど、皆の前では素直になれなくて…
無下にしててごめんね』
耳元でそう謝ってくれるA。
「気にしとらんよ、でも少し寂しいからAからキスしてや」
そう言った瞬間唇に柔らかいものが触れる。
Aの顔がドアップになって俺の目に映る。
『…早く治してよね』
恥ずかしさが限界に達したのか立ち上がってリビングに行ってしまった。
俺も顔の赤みがひくことなく、顔を手で覆った。
「ほんまにかわいい…」
せっかくAがキスしてくれたのだ。
早く治して2倍返ししてやろう、と思った。
俺の体も、Aの為だけに捧げるから。
愛してるで、A。
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作者名:蘭人 x他1人 | 作成日時:2020年4月1日 22時