雨上がりの日曜日(そらまふ) ページ4
私がマネジメントする2人は、我儘である。
『今日は14時から打ち合わせなんですけど。
今、13時だってわかってます?』
「今日はパスで」
「僕も今日は作業したい日なので別の日にお願いします」
『仕事なのはこっちも一緒です!』
こんな我儘な二人のユニット名はAfter the Rain。
武道館やさいたまスーパーアリーナなどでライブをするほどの人気のあるユニット。
『ファンのみんなも楽しみに待っています!
ほら、頑張りましょう?』
そう言うと2人は
「ファンの皆さんの為なら…」
「Aのためには絶対に頑張らない」
『…どうでもいいから早く準備してください』
そして一言多い。
「ほら、早く行くよ」
そらるさんは準備ができたようで気怠そうに玄関に立っている。
まふは…?と思っているとぴこんと携帯が鳴る。
まふまふ下にいるので早く来てくださいよね
…ほんとにこいつは!
『お待たせしました!』
イライラが隠せず、そのままタクシーに乗り込む。
「しわ増えるぞ」
「そらるさん、そんなこと言ったらいけないですよ。
すでにそうなんですから…」
イライラして返事もできずに黙ったまま打ち合わせ会場へ向かう。
…いつ辞めてやろうか。
少しでも落ち着くために外を見る。
今日は土砂降り。
今は土曜日だが明日まで雨が続くそうだ。
『雨上がりの空が好きなんだけどなぁ…』
そう呟いたのはきっと誰にも聞こえてないと思う。
会場へとついて打ち合わせを始める。
一度スイッチが入ると気合が入るのだろう。
そらるさんもまふも、先ほどとはうって変わって真面目な態度。
ずっとこんな感じだったらいいんだけどねぇ。
『…はい、お疲れさまでした。
今日の打ち上げ終了です。解散!』
そう言って早々に帰宅しようと会場を出ようとする。
「待てよ」
「何帰ろうとしてるんですか?」
2人に腕をつかまれて帰れない。
『再就職先を探すので急いで帰りたいんですけど』
「は?永久就職だろ?」
当たり前のようにそういうそらるさん。
「Aさん辞めるんですか?
許すと思います?」
腕の力を強めるまふ。
『あなたたち私のこと嫌いでしょ
だから離れようと思って』
「ほら、まふがいじめるから」
「そらるさんだってそうじゃないですか」
何かぶつぶつ言い合っている。
「…とにかく、しっかり分かってもらわないといけないですね」
妖しく笑ったまふは、私の腕を離すことなく家に連れて帰った。
そらるさんも一緒に。
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作者名:蘭人 x他1人 | 作成日時:2020年4月1日 22時