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『ファンである私が何を言っているんだって話なんですけど…
気持ちを消すって、難しいことだと思うんです。
大きい重い程、消す時に他のものを巻き込んでしまう。まふまふさんがそんなリスクを背負うことはありません。まふまふさんがせずとも、私が責任を負います』
「あの…」
『私、まふまふさん降ります
そしたら、会うこともないですよね』
少し寂しそうな顔をした彼女が腕を押さえてそう告げる。
なぜ腕を押さえているのか不思議に思っていたが、よく見ると震えている。
緊張か、はたまたその決断が彼女にとってそれほど重いことなのか。
答えは一目瞭然だった。
「君、僕の音楽好き？」
『当たり前じゃないですか…
あなたの音楽が好きでここまで応援して来たんです』
「…僕の、音楽が好き。か
ありがとう。その言葉、ずっと聞きたかったんだ」
僕ではなく、僕の音楽を見てくれる人がここにいる。
「君を忘れるのはもうやめにする。
…君も僕の前からいなくならないでほしい」
『でもっ』
「僕は相川真冬。まふまふじゃないよ。
初めまして、君のことが好きです。…君の名前は？」
『Aと申します。まふまふさんの音楽が好きです。
真冬さん、あなたのことが好き、です』
「Aちゃん、Aちゃん…よし覚えた」
「今日から僕のことは相川真冬として、僕と一緒にいてくれませんか」
『私でよければ、ぜひ』
優しく笑ったAちゃんは、とても可愛らしくて。
つい、抱き締めてしまった
『ま、ふゆさん？』
「手が早いなんて思わないでね、Aちゃんがかわいくて、つい」
というと顔を赤くするAちゃん。
この子を一生大事にしたいと思った。
「ねえ、明日紹介したい人がいるんだけど。
一之瀬彼方さんっていって、僕の唯一の相棒なんだ」
『それって…』
「彼方さんには、ちゃんと紹介しておきたい。ダメ、かな？」
『いえ、紹介してくれるなんて嬉しいです』
そらるさん、なんていうだろうか。
驚くかな、怒るかな。
もしかしたら一緒に喜んでくれるかもしれない。
「これからよろしくねAちゃん」
『こちらこそよろしくお願いします、真冬さん』
嬉しそうに笑う彼女をみて、また抱き締めた。
忘れなくて、よかった。
この気持ちも、今の僕を作り上げる一部なのだから。
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作者名：蘭人 x他1人 | 作成日時：2020年4月1日 22時
