【歌/い/手】俺たちと恋、してみませんか２【短編集】 (ページ11)

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マイペースな２人にほぼ引きずられるようにしてAの家へ向かう。

『ほかに誰か呼ぶ？』

「３人でやろうや、今度皆でやろ」

『そうだね！』

坂田は変なところで気を遣っているみたいだ。

Aの家についてゲームをセットする坂田と、飲み物の準備をしているA。

「うらさん、向こう手伝ってきーや」

キッチンを指す坂田。

「うっせ、言われなくても行くわ」

憎まれ口をたたいてキッチンに向かう。

「A、手伝うよ」

『わたるありがとう！
じゃあこれとこれ、持っていくの手伝って？』

お菓子の袋とお茶のペットボトルを渡される。
Aは別の種類のお菓子とコップの乗ったお盆を手に持っている。

「おら、こっちもよこせ」

と言ってコップの乗ったお盆を奪う。

『わたるも男の子なんだよねぇ』

「もう３０になりました」

今更何を、と笑ってリビングへ向かう。

ちょうどゲームのセットが終わったようだ。
坂田がちょうどよかったと笑っている。
ゲームを始めて数十分経った頃、罰ゲームをかけて戦うことになった。

「え、ちょまて坂田ぁ!」

「やったぁぁぁうらさんに勝った!!」

『ちょっと待ってハイレベルな争いしないでぇ！』

１位が坂田。
２位が俺。
３位がA。
そう、Aが罰ゲームを受けることになった。
罰ゲームを決めるのは坂田。

「Aが罰ゲームな！
じゃあ…なんで最近そんなかわいくなったん？」

おい坂田ぁ！
なんてことを聞きやがる！

『え、それだけ？
とりあえず話すけど、罰ゲームはそれじゃなくてもいいよｗ
ただ可愛くなりたいって思った、それだけだよ』

「なんで？」

つい、聞いてしまった。

『…好きな人がいるから』

「はぁっ！？あのAに好きなひとぉ！？」

坂田が空気を読まずに叫ぶ。

『悠うるっさい！
私にだって好きな人くらいいます～』

「だれだれっ！気になる！」

『今は教えられなぁい』

「今は？」

「なんで今はダメなん!?」

『悠、また今度ね
今日は帰って』

笑いながらも焦っているのだろう。
坂田の背中を押して玄関へと連れていくA。

「ちょちょ、うらさんは？
ねえねえ！」

…確かに、俺は？

『じゃあ悠、また今度。
場合によっては残念会で会おうね』

そう笑ってAは玄関のドアを閉めた。