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そして翌朝俺たちは日が出ないうちに出ることにした。
「ありがとうございました。」
「いえいえ、いいのよ、祐也をよろしくね?」
祐也の祖父母にお礼を言うなり俺たちは外に出た。
祐也をよろしくね、か。
最果ての原に行ったあと何するか考えて無かった…。
でも今は向かわなきゃ行けない。
考えるのは後にしよう。
俺らは無言で森を歩いていた。
するとある道が分かれているところに来た瞬間祐也は俺の手を強く握った。
「ど、どうした?」
「…ここで…お父さんとお母さんが殺されたの…。」
祐也は亡霊のような表情で俺に言った。
「祐也…」
「俺がこんな力を持っていたから…もし持ってなかったら…今頃お父さんとお母さんに…」
泣き出しそうな声で話す祐也似耐えきれなくなった俺は彼を抱きしめた。
「け、けーちゃん!?ちょ、ちょっと!!」
冷たいよ!?というつもりだったのか俺は遮るように言った。
「そんな事ない、大丈夫っ、もしさ、祐也はその力持ってなかったら俺と会ってなかったじゃん!」
俺がそういうなり祐也は俺の背中に手を回した。
「っ…うんっ…。ありがとう…。楽になった…」
祐也は俺から離れるなり再び手を繋ぎ始めた。
「もうすぐ俺の生まれたとこに着くから。」
歩いて1時間たった今どんどん空が明るくなってきた。
そしてどんどん木の密集が少なくなってきた。
もうすぐだ、もうすぐ祐也が生まれた故郷に着く…。
最後の木を抜かした瞬間俺は息をのんだ。
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作者名:ロイ | 作成日時:2020年5月29日 22時