あなたの事が(心配で/恐ろしくて) ページ30
「パパ、斉木さんを中に入れて」
人が変わったようにおとなしくなった母親は今までの対応が嘘のようにおとなしくなり、よたよたと家に入っていく。
ちらりと見えた母親の表情は疲れ切ったものだったが、どこか重い枷が外れたようでもあった。
この場合の重い枷とは…………。
父親も初めてのことだったのか、顔に困惑を見せて僕たちを家に入れた。
動揺のせいで父親が敬語を使っている事が変に不安を煽った。
「で、では……斉木さん、入ってください」
玄関から入ってすぐの部屋へ案内される。
その部屋は畳が敷かれていて、真ん中には机と座布団。和室だった。
◆
しばらくして、お茶を乗せたお盆を持った母親が姿を見せる。
お茶を入れるにしては長かったが、そこは母親が話せるようになるまで気持ちを落ち着けるために必要な時間だったのだろう。顔が先ほどより力強くなっている様に見えた。
僕たちは父親と対面するように座っていたのだが、その横に母親はゆっくりと座った。
「まず、優羽について話したいことがあります」
最初に口を開いたのは母親だった。
「優羽は今、自室で寝ているはずです」
「え？」
「私は近頃病院で睡眠薬を処方されていたのですが、それを――」
「待って」
思わず母さんが手のひらで話を遮る。
……母親の言葉の続きは聞かなくても察せる。
とはいえ、僕だって信じたくない。
「まさか貴方は、自分の子供に睡眠薬を盛ったんですか？」
「っ……は、はい」
母さんからの質問に、ビクリと体を震わせてから母親は答えた。
他の2人だってその言葉に息をのむ。
「信じられない……」
「今まで、隠してきたのですが……優羽は、超能力が使えます、よね。私は優羽が小さいときにそれを知りました」
あくまで母親は話を止めないようで、その空気を変えないまま続きを話す。
だが、この場で話を正気で聞いている人物はは誰一人として存在していない。
人から貰った薬は危険だ。マインドコントロールの影響を少し受けているとはいえ……。
そう思うと汐入さんの安否が気になってしまう。
今、彼女との「相手を覗かない」という約束を破ってまで千里眼で覗いてしまった。
ベッドの上ですーすーと寝息を立てる汐入さんが見える。
今のところ調子が悪いということもなさそうで気が抜けた。
この状況を全く知らずに眠ってしまった汐入さんを少し恨めしく感じるほどだ。
千里眼を解く。
後は母親の話を聞いて、その上で汐入さんとの関係を認めてもらうだけだ。
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りたるだんど(プロフ) - 風姿 花伝さん» お久しぶりです。連載中の方も読んでいただけているようで嬉しいです。風姿さんも自分のペースで執筆頑張ってください。コメントありがとうございました！ (2018年8月4日 0時) (
レス) id: 90f15b9960 (このIDを非表示/違反報告)
風姿 花伝(プロフ) - 完結おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。人の心の成長をよく表せていたように思います。今執筆なさっている新作の方も、今後の展開を楽しみにしております。 (2018年8月3日 23時) (レス) id: 93face14bb (このIDを非表示/違反報告)
りたるだんど(プロフ) - あさぎさん» コメントありがとうごさいます〜！綿密って言われると嬉しくて照れます！後一話残っているのでおまけ加える予定です〜！読んでいただきありがとうございます！ (2018年8月3日 20時) (レス) id: 90f15b9960 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 完結おめでとうございます！夢主ちゃんと楠雄くん、末永くお幸せになって欲しいです！話の展開が綿密に組まれていて、素晴らしかったです！ (2018年8月3日 19時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
りたるだんど(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます。そこまで褒められるとは……！すごく嬉しくてドキドキしました。読んでくださりありがとうございます。 (2018年2月4日 17時) (レス) id: 90f15b9960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りたるだんど | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Ritarudando1/
作成日時：2017年8月9日 10時
