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70.(side_you~ ページ22

70.








side_you








たくさん走って、やっとの思いで着いた新海公園。



でも、そこにいたのは樹じゃなかった。









「北斗くん…」






ラフな格好に、ボサボサ頭、
寝起き感を醸し出す黒縁メガネ。


そこに立っていた北斗くんからは、
いつもみたいな優等生オーラが全く感じられない。


どこにでもいる、男子高校生。



初めて見る北斗くんについ目が釘付けになってしまっていた私に、北斗くんはようやく気がついた。




北斗「なん、で…」



目を丸くした北斗くんはクイッとメガネを上げた。


そしてしばらく固まった後、
何かを察したような、納得したような顔をした。



北斗「そうか、樹、あいつ…くそっ」



北斗くんは独り言を呟きながら、頭を搔く。

ボサボサ頭がより一層、ボサボサになった。

そして、呆れたような顔をしながら私に近づく。


北斗「………帰れ」


「…え?」


北斗「言っただろ?…顔も、見たくないって」


昨日の北斗くんの顔が、脳内に蘇る。

まるで、塩を入れた氷水のように冷たかった…

北斗くんの、あの顔を。


そして今の北斗くんも、同じだった。


北斗「俺ら、もう終わりだ…終わったんだ」


"終わり"という言葉が、チクリと心に刺さる。

でもそれと同時に、
それは少し、私の心を軽くした。


私はもしかしたら、
この言葉を…待ってたのかもしれない。



「北斗くん…」


北斗「…呼ぶな、早く、帰れ」



そんな事を言いながらも、
北斗くんの目には次第に涙が浮かんでいた。



「北斗…くん?」


北斗「やめろ…こっち見んな」


決して合わせようとしない北斗くんの目からは、
大粒の涙がポロポロと溢れだした。



「ねぇ…」


北斗「なんなんだよ!早く、樹んとこ、行けよ!」



ついに大声を上げだした北斗くんは、冷静さを失い、ただ単に私を自分の視界から消すことに必死だった。


そんな北斗くんを見て、私はようやく気がついた。









昨日の言葉も、今のこの言葉も…

北斗くんの本当の気持ちじゃない。





そうか、北斗くんは私のことを思って、

自分が悪い人になろうとしているんだ。




自分ひとりで全部背負って…









そんなの、ダメだ。





私だけ幸せになるなんて、

北斗くんだけ辛いままだなんて、


そんなの、嫌だ。









.

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設定タグ:SixTONES , 松村北斗 , 田中樹   
作品ジャンル:恋愛
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さいか(プロフ) - リリーさん» そんなふうに言っていただけるとすごく嬉しいです(;_;)ぜひまたリクエストがあればよろしくお願いします! (2019年2月16日 23時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - すごいです!こんなに素敵になると思ってなくて何回も読み返しちゃいました!ありがとうございます! (2019年2月15日 0時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます!バレンタインにピッタリのお話が書けて嬉しかったです!! (2019年2月14日 13時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 樹くんへバレンタインのチョコをプレゼント手作りしてプレゼントするのが読みたいです!お願いします(^ ^) (2019年2月12日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます!「 - 雨降る日曜日 - 」にて、樹くんと女の子ちゃんのラブラブ書かせていただきました。ご要望に答えられたか心配ですが…ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです! (2019年2月12日 6時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さいか | 作成日時:2018年11月19日 7時

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