258 化身の融合 ページ8
──化身が、進化した。
私たちは驚きに目を見開きながら、天馬とその化身を見つめていた。今の一瞬で何が起こったのかわからなかったが、理解した途端、全身に鳥肌が立った。
こんなのを見せられて、興奮しないわけがない。これだから……本番でも何が起こるかわからないから、フィールドから一時も目が離せない。
ペガサスアークは、アポロの頭上高くを飛び越えていった。
真っ白な翼が閃き、放たれたシュートはキーパーの化身必殺技をも貫いてゴールネットに突き刺さる。
3-3。ここに来て同点に追いついた。
天馬の身体に、影山と錦がしがみついて喜んでいる。
ベンチ総立ちになりながら、私たちも喜びをかみしめていた。
化身が進化した。天馬の強い思いが形となって現れたのだ。誰よりも高く、どこまでも遠く翔けるために。
いける。勝てる。選手たちは無言でその思いを共有していた。
ここで新雲は、雨宮をトップ下に下げた。戦法を改めることでアプローチを変えてくるのだろうか。
キックオフ直後──神童が勢いよく飛び出した。一気に決めるつもりか。
そのままボールを奪い、単身切り込む。進行方向には棒立ちの雨宮。
抜けるか。そう思った瞬間だった。
雨宮の背中から、尋常でないほどの化身のオーラが吹き出した。
舞い上がる土煙。ゼロ距離にいた神童は後方数メートルに吹き飛ばされた。全身をしたたかに地面に打ち付け、転がりながら。
「神童っ！！」
私は立ち上がって叫んでいた。全身から冷や汗が吹き出す。ここからでは上手く受身を取れたのかわからなかった。
しかし神童は頭を振って身を起こした。とりあえずは無事なようで、胸を撫で下ろす。
それにしても、雨宮にまだあんな力が残されていたなんて。
火事場の馬鹿力か──いや、違う。
土煙がゆっくりと晴れていく。雨宮の背後には、巨大な化身の影が。
そしてその後ろ。新雲の選手たちは手を前方にかざし、雨宮に気を送っているように見えた。
「天馬。これが仲間に化身の力を送り込む、化身ドローイングだよ！」
雨宮の力強い声が、風に乗って聞こえてきた。
化身の黒いオーラがゆっくりと剥がれていく。
「これが僕の──いや、僕たちの化身！ 『太陽神アポロ』！」
仲間の思いを、化身の力に変えたということか。
こんなこともできてしまうだなんて……化身は本当に、強大な力を秘めている。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
