255 翳る陽光 ページ5
一気に会場が湧きたち、遅れて私たちも飛び上がってファインセーブを喜ぶ。
信助も自分の出した力に驚いている様子だったが、ボールを高く掲げ持ってジャンプした。
──やってみせた。この土壇場で。これで守りの方は安心だ。
信助のファインセーブが影響し、雷門の攻撃陣営も息を吹き返した。
流砂の起こるタイミングが読めたのだろう、神童は神のタクトを使って勢いよく選手たちを導いていく。
「『奏者マエストロ』！──『ハーモニクス』！」
「『鉄壁のギガドーン』！──『ギガンティックボム』！」
化身対化身──勝ったのは神童だった。
一点を取り返し、差を縮める雷門。沸き立つ観客とフィールド、そしてベンチ陣。
朝感じていた奇妙な不安を、私はすっかり忘れ去っていた。
一点を返したが雨宮の快進撃は止まらない。
あっという間に雷門陣営へ切り込み、シュート体勢に持ち込む。
「『太陽神アポロ』──『サンシャインフォース』！」
「『護星神タイタニアス』──『マジン・ザ・ハンド』！」
しかし、信助の成長もあそこでは止まらなかった。化身必殺技で、雨宮のシュートをがっちりと止める。
そしてボールは信助から錦へ、錦から神童へ繋がる。
「はあああっ！！」
再びの神童の化身シュートに備え、相手キーパーは備える。
だがそちらは囮だった。本命は──剣城。
「『剣聖ランスロット』──『ロストエンジェル』！」
「『鉄壁のギガドーン』！──『ギガンティックボム』！」
からくも反応したキーパーだったが、しかし勢いで負けた。
2-2。これで試合は振出しに戻った。
新雲の得点全てが雨宮のものであるのに対し、雷門は得点全てに神童の活躍が絡んでいる。
言いようのない嬉しさがこみあげてきて、私は両手で胸を抑えた。
雷門が追いついたことでさらに試合は激しさを増す。しかし勢いで勝っているのは雷門の方だった。新雲は必死に食らいついており、雨宮までもが守備に回っていた。
ボールを奪った雨宮が、一瞬体勢を崩す。その隙を見逃さなかった神童がすかさず奪い返した。
雨宮はその場にくずおれる。やはり消耗の仕方が異常だ。動きにも明らかにキレがなくなっている。
それでも雨宮は立ち上がり、天馬に渡ったボールを奪い返そうと追いかける。
決定的なチャンス。天馬はシュートを放ったのだが──ボールはゴールポストにぶつかり、明後日の方向へ飛んで行った。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
