290 サッカーやろうぜ ページ40
ここで長いホイッスル。試合──終了。
終わった。試合が。得点は5-4。雷門が5点、ドラゴンリンクが4点。
葵たちと顔を見合わせる。
つまり、勝った？
「──やったああーーーーっ！！！」
天馬の叫びと観客の歓声が、私を我に返らせた。
じわじわと喜びが心の底から徐々に溢れ、ゆっくりと心と体を満たした後、外に溢れ出る。
沸きあがる嬉しさに身を任せ、私は大声を出す。
「勝った！ 勝ったーー！」
葵、茜と手を取り合い、水鳥に背中を叩かれながら、私はこれまでにないくらい破顔して飛び上がった。
成し遂げた。革命を……成し遂げたのだ。
初めは誰もが無理だと思った。革命なんて無謀だと。意味がないと。だけど、できた。強大な敵に立ち向かい、見事に打ち勝つことができたのだ。
天馬はひとしきりフィールドで仲間と喜びを分かちあった後、真っ先に神童の方へ駆け寄った。
私も数歩前に出て、客席の方を仰ぎ見る。看護師さんに──昨日会った、若い女性の人だった──付き添われ、松葉杖をついた神童がそこにいた。
「キャプテン！ 俺、雷門に入って良かったです。キャプテンと、円堂監督と、皆と出会って……サッカーできてよかったです！」
二人の目には、薄らと涙が滲んでいた。
これまでの戦いの日々が、自然と頭に思い起こされる。嬉しかったこと、悔しかったこと。全ての経験が私たちの糧となり、今日、実を結んだのだ。
「キャプテン！ また一緒に──サッカーやろうぜ！」
天馬がお決まりの台詞を言って、拳を突き出す。
神童も頷いて、拳を前に突き出した。
天馬は笑って、フィールドの皆のところへ戻っていく。
それを見送った私は、神童の方に目を戻した。
視線がかち合う。言いたいことは山ほどあるのに、色んな感情がとめどなく溢れ出てきて口が回らない。
散々考えた末、私は天馬と同じように拳を突き出した。
神童は笑ってそれに応えてくれる。
言葉は交わさなかったが、きっと私たち二人の胸の中には、同じ気持ちが満ちているはずだった。
＊
その後すぐに表彰式が行われた。
横一列に並んだ両チーム。天馬の手に、銀色の光り輝く優勝トロフィーが授与される。
「優勝した……本当のサッカー、取り戻したんだぁーーっ！！」
天馬はキャプテンマークをトロフィーに掛け、高く掲げた。
舞い散る紙吹雪と日の光を浴びたトロフィーは、誇らしげに光り輝いている。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
