287 自分たちのサッカー ページ37
私たちマネージャーは慌てて立ち上がる。そうして戻ってきた選手たちの生傷の手当にかかった。
全員ボロボロだった。身体を張って必死にシュートの嵐を食い止めたのだ、疲れていない方がおかしい。
「天馬、見てみろ。これがお前のやりたかったサッカーか？」
監督が選手たちを示す。
皆の額には大粒の汗が浮かんでいた。誰もが無言で膝に手を当て、息を整えている。
それを見た天馬の中に、何かが閃いたようだった。
「違う……俺がしたいのは！」
「わかったな？」
「──はいっ！」
頷いた天馬は、チームメイトに向き直って勢いよく頭を下げる。
「すいません！ 俺、間違っていました。本当のサッカーを取り戻すには、俺たちが本当のサッカーをしなくちゃいけなかったんです。いつも通り……だから！」
「いつも通り、ねえ」
天馬の言葉を遮ったのは……ベンチに掛けていた、倉間だった。
腕を組んだ倉間は目を上げ、ニヤッと笑って頷く。
「やろうぜ、キャプテン」
「倉間先輩！」
「全員、覚悟は決まっている」
「俺たちはお前と、本気のサッカーをしたいんだ」
「俺達の革命は、お前の真っ直ぐな気持ちから始まったんだからな」
霧野、車田さん、そして戻ってきていた三国さんの言葉に、全員が同意した。
本当のサッカーで戦う。勝つことはもちろんそうだが、何よりも……自分たちが、自分たちらしいサッカーをすること。それが一番大事だったのだ。
フィールドに爽やかな風が吹き、太陽の光が差し込んだ。
それは雷門の、勝利への道筋を照らす光のように思えた。
＊
後半も半分を過ぎている。点差は二点。客観的に見れば、逆転するのは厳しい。
ただ──厳しいだけで、不可能ではない。雷門はいつだって、逆境の中で強くなってきたのだから。
「絶対に勝つ！！」
天馬が気合を入れる声と、試合再開のホイッスルが鳴るのがほぼ同時だった。
「「『精鋭兵ポーン』！！」」
切り込む剣城に、二体の化身が牙を剥く。
体勢を崩されかけた剣城だったが、零れたボールを天馬に繋ぐ。
天馬はそれから幾度も、相手の化身に
一人に二体がかりで襲いかかるドラゴンリンク。それでも天馬は諦めず、前に進み続けた。千宮路に嘲られても、足を止めなかった。
しかしついにボールを奪われてしまい、ドラゴンリンクにチャンスが生まれる。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
