286 一筋の光明 ページ36
「止める──止めてみせる！『魔神ペガサスアーク』！」
「革命の風など……散れ！」
キングバーンの拳がペガサスアークに襲いかかる。
ペガサスアークは掻き消えた。天馬はそばに居た影山もろとも吹き飛ばされる。
防ごうと立ち塞がった速水と浜野も同じように飛ばされ、最後の砦である信助は──しかし、満身創痍だった。
「護星神、タイタニアス……」
苦し紛れに出した化身は、すぐに消える。
シュートが突き刺さり、ゴールネットが揺れた。
2-4。
後半戦のこの時間で、この点差。
雷門側は、ほぼ全員が倒れ伏していた。
よろよろと立ち上がった天馬は、フィールドの惨状を見て絶望的な表情を浮かべる。
「俺のせいだ……俺、なんてことをしちゃったんだ……皆をボロボロにして……化身には化身をぶつけるなんて、馬鹿だ……！
何が『なんとかなる』だよ……皆がなんとかしてくれていただけじゃないか！」
その目から一筋の涙がこぼれ落ちて、フィールドの芝に吸い込まれた。
膝から崩れ落ち、拳を地面に打ちつける天馬を、私は無言で見つめることしかできない。
「何がキャプテンだ……俺がチームをめちゃくちゃにした！ 俺、キャプテン失格だ……俺がキャプテンじゃ、どうやっても勝てない！」
──もう、駄目なのだろうか。
耐えられなくなって、ぎゅっと目を瞑る。それははたから見たら、諦めに顔を伏せたようにも、一縷の希望に賭けて祈りを込めたようにも見えただろう。
私が選手だったら、皆の役に……いや、きっと焼け石に水だ。どうにもならない。
何か有効な手段は、言葉は……そう、頭を必死に回転させていた時。
「天馬ーーーっ！！」
──それは絶対に、聞こえるはずのない声だった。
しかし同時に、今一番聞きたい声でもあった。
「松風天馬ーーーっ！！」
顔を上げる。
力強い呼びかけに天馬も目を上げて、声のした方を見た。
ベンチの後ろ側。ここからじゃ死角になって見ることができない。
──松葉杖をついてきたのであろう、神童の姿を。
天馬を、皆を勇気づけるために、ここまで？
神童は客席の一番前にいたのだろうが、それでもフィールドにいる天馬と言葉を交わすことは叶わない。
だけど、話せずとも心が通じたのだろうか──キャプテンマークを掴む天馬の目に、確かな光が宿った。
円堂監督は、タイムを取って選手たちをベンチに呼び戻した。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
