281 全ての元凶 ページ31
揺れは一分ほど続き、そして止まった。
──一体、なんだったんだ。
突然の出来事に困惑する一同。会場側からのアナウンスもなし。
その時、雷門の隣に相手チームが集結した。
先頭にいるのは黒裂──ではなかった。ましてや聖堂山イレブンでもなかった。
キャプテンマークをしているのは、褐色の肌に油断ならない目付きをした、背の高い少年。その後ろには、全く見知らぬ選手たちが並んでいる。
同時に会場から、実況の困惑した声が聞こえてきた。
──聖堂山は監督、選手、全てをメンバーチェンジ。フィフスセクターはいかなる時点でもルールを変更できるという、少年サッカー法第五条に基づくものだと。
「そんなのありかよ！」
水鳥の言う通り、これはあまりにも横暴だ。
少年サッカー法も、二年前にフィフスが作り出したもの。自分の作り出したルールの中だから、好き勝手してもいいというのか。
フィフスは何としてでも、私たちを勝たせたくないらしい。
「黒裂さんたちは……？」
天馬は厳しい表情で、相手のキャプテンに問うた。
「知らんな。俺たちは『ドラゴンリンク』。フィフスセクターの最高位に君臨する究極のイレブンだ」
最高位……聖堂山のさらに上を行くチームということか。こんな隠し玉があっただなんて。
「俺たちドラゴンリンクは、お前たちにフィフスセクターのサッカーがどういうものか教えに来たんだ」
挑発的な態度に、雷門イレブンは顔をしかめる。
その時……第三の闖入者の声が、場に響き渡った。
「フィフスセクターは私が作った」
さほど大声でもないのに、遠くまでよく響く声だった。
振り向くと、白いスーツを着た、威圧的な雰囲気を持つ男が近づいてくる。
「親父」
相手キャプテンが言った。
親子……言われてみれば髪色や顔つきがそっくりだった。
この人物が、全ての元凶。フィフスセクターの真のトップに君臨する男。
「サッカーを学びプロを目指せるのは、環境に恵まれた者だけ。幼い頃の私にはプレーする権利すら与えられることはなかった」
「たった一個のサッカーボールで、親父はサッカーを失ったんだ」
「罪を悔いた私は、誰もが平等にサッカーを学べるようにする為フィフスセクターを設立した。サッカーには管理が必要だ」
男は天馬を天馬を見下ろし、決然的に言う。
同時に、フィールドに続く扉が開いた。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
