278 一進一退 ページ28
雷門ボールで試合開始。
聖堂山はあまり見ないフォーメーションを取っていた。一列目に四人、中盤がキャプテン一人。その左右に大きなスペースが空いている。
天馬もまずそこから攻めようと思ったようで、飛び出していった剣城と目配せをしていたが──すぐさま三人にマークされてしまった。
「こっちです！」
フリーの速水が走りながら手を振る。天馬は迷わずパスを出した。
同時に聖堂山の一人が動く。
「ワンタッチで前へ！」
素早い指示でパスは繋がったものの、また三人がかりで進路が塞がれる。
どうやっても前には出せない。速水は苦し紛れに浜野にボールを回した。
三度、三人がかりのディフェンス。遂に一瞬の隙を突かれ、ボールを奪われてしまった。
そうか、あのフォーメーション……攻撃重視かと思ったが、本当は防御に徹底したものだったのだ。前にパスを出させない為の。
ボールはキャプテン、黒裂へ。
霧野が立ち塞がるも、意表をついたバックパスでこれをかわしてみせた。
しかし天城さんが、聖堂山選手からボールを奪う。再び天馬にパス。
天馬は倉間に繋ぎ、一気に得点のチャンスを掴もうとしたが──聖堂山側のディフェンスが早かった。三人での防御。
そうしてボールが奪われた。向かう先は──黒裂。
「『バリスタショット』！」
──速い！
瞬きする僅かな間に、ゴールネットが揺れていた。三国さんが技を出す暇もなかった。
なんて統率の取れた連携、個々の身体能力。わかってはいたが、一筋縄ではいかないようだ。
0-1。雷門のキックオフで試合再開。その、一秒後。
「『サイドワインダー』！」
自陣からのロングシュートは、呆然とする聖堂山陣営を突っ切り一直線にゴールへ。パスを封じられたなら、パスを出さずに点を奪う作戦か！
ただ聖堂山は、これで得点を許すようなヤワなチームではなかった。
「『シュートブレイク』！」
ただ、こちらの作戦もこれで終わりではない。
キーパーは止めたボールを味方にパス。ジャンプした錦がそれを見事にカットし、天馬へ。
対峙する両チームのキャプテン。三人体制での囲みが迫る。
「『そよかぜステップ』！」
しかし、突っ込んで行った天馬は必殺技で突破。とうとう、聖堂山の包囲が崩れた。
それまで完璧だった聖堂山の統率に、僅かな綻びが生まれる。ボールは方にいた剣城へ。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
