253 二つの塔 ページ3
試合開始からここまで、五分も経っていなかった。
雨宮はたった一人で得点してしまったのだ。恐るべき実力に、鳥肌が立つ。
しかしまだ一点。逆境に立って強くなっていくのが雷門なのだから。
試合再開。新雲は変わらず、雨宮を攻撃に据えて他は自陣に残る体制を取っている。
切り込んでいった雷門だが、一瞬の綻びを突かれてボールを奪われ、雨宮の元へ渡ってしまった。
「雨宮を徹底マークだ！」
三国さんからの指示が飛ぶ。
霧野と狩屋、天城さんの三人がかりのマークに、さすがの雨宮も抜け出せずにいるようだった。だがボールは渡さない。
その時、飛び出してきた新雲のFWたちが躍り出た。
「信助は10番をマークだ！」
「はいっ！」
タイミングを見計らっていたかのように、雨宮が守備の隙をついてパス。マークしていた10番ではなく、逆方向にいた9番へ。
9番はそのままシュートを放ったが、ここは三国さんが防いだ。
「サッカーには二人の司令塔がいる。攻撃を指揮するゲームメーカー。そして守備を統率しチーム全体に指示を出すゴールキーパー。守備の要だからこそキーパーは守護神と呼ばれるんだ」
「あとは、攻撃が機能してくれれば……」
鬼道監督と音無先生の呟きに、私は身を固くした。
攻守どちらも盤石にすることによって、初めて戦略を練ることができる。どちらかだけが優れていたとしても意味はないのだ。
しかしそれからの雷門はなかなか攻めきれずにいた。敵を避ければ砂が、砂を避ければ敵が立ち塞がるのだ。
その突破口を見つけたのは信助だった。
「『スカイウォーク』！」
新たな必殺技で流砂の川を飛び越え、ボールを神童に繋ぐ。
──そうか、木戸川戦でのピッチダウンの時にも同じような手段を使って攻略したのだ。信助の機転に舌を巻く。
「『フォルテシモ』！」
見事な軌道でシュートが放たれるも、
「『鉄壁のギガドーン』！」
相手キーパーの発動した化身で、危なげなく止められてしまった。
そのまま雨宮へのロングパス。再びディフェンスラインを突破し、あっという間にゴール前に躍り出た。
「『太陽神アポロ』！──『サンシャインフォース』！」
先ほどとは比べ物にならない質量のシュートが放たれる。太陽のような熱が、ベンチまで伝わってきた。
「『ハンターズネット』！」
「『アトランティスウォール』！」
二人の必殺技をあざ笑うように、全く勢いを衰えさせず突き進むボール。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
