266 最終決戦に向けて ページ16
「天馬。なんとかなる、だろ？」
「なんとかなる、だよね」
信介と葵が、そんな天馬の後ろから声をかける。
周囲の期待。神童からの指名。のしかかる責任はきっと軽いものではないだろう。けど天馬ならやってみせてくれる……私は、いや私たちはそう感じていた。
天馬はしばらく考え込んでいたが、やがて意を決したように顔を上げる。
「わかりました──俺、キャプテンやります！」
こうして、ここに新しいキャプテンが誕生した。
革命の風が最終決戦に向けて、大きく吹き荒れようとしていた。
＊
ユニフォームに着替えた皆はグラウンドに集合した。
監督から決勝の相手が伝えられる。
「決勝戦の相手、聖堂山中の監督はあのイシドシュウジだ。完璧と言っていいほどのチームで、はっきり言って弱点は全くない。その上選手全員がエースストライカーと言っていいほどの得点力を持っている」
「つまり……どこからでも得点が奪えるってことか」
狩屋の呟きに、チームの間に低いざわめきが生まれた。
この前の別ブロックでの準決勝……聖堂山は、強豪千羽山を16-0と、完膚なきまでに下している。
新雲学園もパーフェクトと言われていたが、その更に上を行くのだろう。手強い相手になりそうだ。
「だが、全員の力を合わせれば必ず勝てる！ ……お、来たな」
ふと円堂監督が視線を移す。
すると、どやどやと十数人の人間がフィールドに入ってきた。その顔ぶれを見て、真っ先に一乃と青山が反応する。
白い服に黄色のハーフパンツ──雷門のセカンドチームが、誰一人欠けることなく揃っていたのだ。
石狩がセカンドチームの全員を代表して口を開く。
「先輩たちの活躍はずっと見てました。俺たちにも手伝わせてください！ 皆の力になりたいんです！」
戻ってきてくれた仲間たちに、チームの皆の笑みが深くなった。
私たちの戦いが、セカンドチームの皆の心に火をつけたのだ。そう思うとなんだか誇らしくなった。
それからはファーストチームとセカンドチーム、二つに分かれて試合形式の練習をすることになった。久々にセカンドチームのキャプテンマークをつけた一乃は、活き活きして見えた。
ファーストチームは天馬を中心に連携を確認する。キャプテンとしての初陣、果たしてどうなるか。
私たちマネージャーは観戦しながらも、ドリンク作りの手は止めなかった。一気に部員が二倍近く増えたのだ、仕事の量も二倍になる。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
