265 新キャプテン ページ15
円堂監督が正式に監督に戻り、鬼道監督は再びコーチとして雷門を支えることになった。
それが雷門にとって一番いいフォーメーションだと──鬼道コーチは言った。
円堂監督は真剣な表情に戻って再び口を開く。
「早速だが、提案がある。神童のことは聞いた……そこで決勝戦に出られない神童の代わりに、新しいキャプテンを任命しようと思う」
新キャプテン。
神童の統率の仕方に慣れている今の雷門からしたら、新しいキャプテンの指示で動くのは勝手が違ってくるだろう。
しかしやらねばならない。キャプテンになってこの短期間でチームを統率するのは難しいだろうが……それが可能な人物は、一体誰だろうか。
監督は一切の迷いなく、指を──
「新しいキャプテンは……松風天馬、お前だ」
天馬に向けた。
一瞬の沈黙……そして、どよめき。
「え……え、ええっ？！ 俺がキャプテン？！」
天馬は素っ頓狂な大声を上げた。
他の何人かの選手も、天馬が指名されたことに驚いているようだった。
かく言う私は……驚き半分、納得半分と言ったところだ。
円堂監督はその反応も折り込み済みと言わんばかりに頷く。
「実はここに来る前、神童に会ってきた。天馬をキャプテンにするのは、神童と話し合って決めたことだ。天馬、神童も是非お前にやってもらいたいと言っている」
天馬はまだ信じられないと言った様子で、目をぱちくりとさせている。
私は監督の言葉の、別の部分に反応していた。監督が会ってきたということは……面会はもうできるのか。
下唇をぐっと噛む。神童に会う決心というか、会ってどんな言葉をかけたらいいかは、まだ考えられていなかった。
意識を目の前のことに戻す。「いいんじゃないか？」と、いの一番に頷いたのは三国さんだった。
「俺たちが本当のサッカーを見失わずに済んだのは、お前のおかげだ。お前はみんなの心に、革命という風を吹かせてくれた。お前なら必ずできる──なあ、皆？」
天馬がいなければ、今の雷門サッカー部はなかったかもしれない。
あの入学式の日、一人立ち向かったから……諦めなかったから、革命の風が吹いたのだ。
反対する者は誰もいなかった。天馬に注がれる視線は、新学期始まりたての時とは見違えるように変わっていた。
「でも俺、キャプテンなんて──」
「この期に及んで何ゴチャゴチャ言ってんだ？！ さっさと腹を決めろ！」
水鳥に怒鳴られても、天馬の表情は変わらなかった。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
