264 監督の再来 ページ14
「さあ、今日も張り切って練習よ！」
音無先生の明るい声がフィールドに響く。
しかし皆のプレーは明らかに精彩を欠いたものだった。トラップミス、パスミス……普段ではしないようなミスが散見される。
「お前たち、なんだそのプレーは！ それがお前たちのサッカーか？ そんなサッカーで決勝に臨む気か！！」
鬼道監督からの怒号が飛ぶ。
神童がいなくなったことは、やはり選手たちに大きく影響していた。
実際、私も……神童のいないフィールドは、ぼっかりと穴が空いてしまったように感じられた。
このままではいけない。チームにまとまりがないと。キャプテンの存在が……そう、キャプテンだ。
神童がいない今、チームの新しいキャプテンを任命する必要があるだろう。
しかし、誰がなるのだろう。キャプテンの経験がある三国さんだろうか、それとも──
「Aさーん、こっち手伝ってもらっていいですかー？」
葵に呼ばれ、私は考え事を中断した。
返事をしながら駆け出す。集中しなければいけないのは、マネージャーも同じだった。
＊
翌日の部室。
いつまでもこのままではいけないと思ったのか、皆の顔には活き活きとしたものが戻りつつあった。
決勝戦まで、日も短い。最後の大舞台に備えて、コンディションを万全にする必要があった。
「おはようございま──」
部室に入ってきた人物に挨拶をしかけた天馬たちの声が、途中で止まった。
何事かと振り向いてそこにいたのは──なんと円堂監督だった。
あまりに突然の帰還に皆ははじめ口をあんぐりと開けていたが、やがてその顔に喜色を滲ませていった。
──帰ってきた。監督が帰ってきたのだ。
円堂監督は皆の顔をぐるりと見渡し、白い歯を見せてニカッと笑った。
円堂監督が前に立ち、皆がその周りに集まる。
「皆も知っていると思うが、俺は今までフィフスセクターのシード養成施設の調査に行っていた。集めた情報はレジスタンス本部に報告したから、いずれフィフスのやってきたことが明らかになるだろう」
ゴッドエデンと呼ばれる孤島での調査だろう。そこに赴き、壮絶な戦いをした皆は、一瞬だけ顔を引き締めた。
「これからは皆と一緒に勝利に向かって戦っていく！」
その言葉に、場の雰囲気が明るくなる。
また円堂監督にサッカーを教えて貰える……そう思うと、言いようのない嬉しさが込み上げてくるのだろう。
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キメラ(プロフ) - うさまる。さん» コメントありがとうございます！ 更新に波があって、お待たせしてしまって申し訳ないです💦 ゆっくりペースの連載になりますがこれからも見守ってもらえるとありがたいです！ (2022年10月22日 10時) (
レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
うさまる。(プロフ) - 更新ありがとうございます！この作品大好きなのでとても嬉しいです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年10月22日 9時) (レス) @page33 id: b10d69f65a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年9月10日 9時
