499 あたたかな気持ち ページ42
「最初は後ろで様子を見てるといいやんね」という黄名子の言葉に従わず、男性は果敢に攻め上がっていく。
何度もシュートを試みるも、それは信助がクリア。男性は勘が鋭いようで、早くもコツを掴み始めていた。
私も負けていられない。隙を突いてフェイからボールを奪い、黄名子にバックパス。
黄名子はそのまま攻め上がり、ゴールに向かってループシュートを繰り出した。意表を突かれた信助の頭の上を、ボールが通り過ぎていく。
よし、入った──そう確信した瞬間、死角になっていた場所からクロエが飛び出してきた。そしてヘディングでボールを弾く。
「ナイスセーブ、クロエ！」
天馬に褒められたクロエは痛そうに頭をさすりながら、にこにこと笑っていた。
そうしてしばらくボールを追いかけた後、クロエが休憩すると言うので、私も一旦ゲームから抜けた。
植木の傍に二人で腰かける。そうしてみんなのプレーを眺めていた。
私の視線はふと、城の塔に向く。あの中ではきっと今頃、ジャンヌがシャルル王太子と話をしている。王との交渉に関しては、私たちが力になってあげることはできない。上手くいくのを願うばかりだ。
ふと気になり、クロエに問いかけてみる。
「ジャンヌのこと好き？」
「うん」
間髪入れずに返事が来た。
クロエがこんなにはっきり他人に好意を抱いたのは初めてだった。色んな人に対して心を開けるようになったというのは、成長と言えるだろう。
ジャンヌも、クロエのことを特別に思ってくれているようだった。二人は互いにシンパシーを感じているのかもしれない。それが何によるものかは本人たちにしかわからないだろうけれど。
「ジャンヌやさしいし、かわいいし、すごいんだもん」
「そうだね。ジャンヌはフランスのために立ち上がった、英雄になる人物だから」
現代のフランスでは聖女として崇められているジャンヌ。その功績は世界中に轟いている。ジャンヌは時を超え、多くの人に崇拝、尊敬される人物となったのだ。
そして……私たちが知る、その人間性。敬虔であり真摯な姿に、多くの兵士が惹かれたのだろう。優しいキャンディーの味が自然と思い起こされた。
「ねえA、ジャンヌとミキシマックスしてよ」
「えっ？」
急な要求に、素っ頓狂な声が出る。
束の間逡巡した。ジャンヌとのミキシマックスに相応しいのは、多分私じゃなくて──
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キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
