490 今できることを ページ33
「きっとなんとかなりますよ。今はボールを追っかけましょう」
なんとかなる。いつもの台詞を聞いて、私たちの顔には笑みが浮かんだ。
ユニフォームに着替え、アップを始める。監視役の兵士は、私たちの行動に懐疑的な視線を向けていた。
向こうでは剣城と黄名子の1対1が始まった。剣城のプレーに、黄名子が負けじと食らいついている。
攻撃だけでなく守備も得意なようだ。動きも機敏で無駄がない。
「私たちもやろう、神童」
「ああ」
私たち二年生はちょうど六人いる。3対3でプレーを始めた。
ボールを蹴り出すとたちまち時間が経つのを忘れる。悩みが全部吹き飛んで、目の前のプレーだけに集中できる。
神童とワンツーで浜野を抜き、フリーだった霧野にパス──そのままシュート。ゴールに見立てていたエリアの塀にボールがぶつかった。
「ちゅーかA、秋空チャレンジャーズの時とは比べ物になんないくらい上手くなってね？」
「確かに。驚きですよ」
二人にそう評され、私の耳はちょっと赤くなった。
「Aはまっこと胆力のある
さらには錦がなぜか自慢げに、この前の試合のことを話し始めた。
ふと霧野の方を見る。その顔にはやはり、陰りが差していた。
狩屋は、霧野は神童にジェラシーを感じていると言っていた。ならやっぱり、同じ気持ちを抱いたことがある私が話を聞くのがいいだろうか。
「何をしているのですか？」
その時、建物の渡り廊下からジャンヌの声が降ってきた。ジャンヌは先程の鎧姿ではなく、軽装になっていた。
「サッカーです！ 俺たちの一番大切なものです！」
「俺たちはサッカーを守るためにここへ来たんです。今はまだ事情を説明することはできませんが……貴方の力が必要なんです！」
天馬と神童が言った。ジャンヌの瞳がぱちくりと瞬いた。
それからジャンヌは下へ降りてきて、私たちの練習風景を見ていた。
その澄んだ緑色の瞳は興味津々といった様子だった。隣にいるクロエと時折何か話しながら、眼鏡を前に後ろにずらしている。
束の間の休憩時間、ジャンヌは再び私たちにキャンディーをくれた。運動した後の甘いものほど美味しいものはない。
「アンタ気が利くじゃん！ 気に入ったぜ」
「えっと、私はみなさんのことがもっと知りたくて」
水鳥の言葉に、ジャンヌは少し照れくさそうにそう答えた。
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キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
