489 心配り ページ32
「みなさんもどうぞ」
ジャンヌのその言葉に甘えて、結局私たちは全員キャンディーをご馳走になった。
口に入れると、優しい甘みが口の中に広がる。添加物が使われていない自然な美味しさだった。
ただ一人、木の幹へもたれかかってみんなの様子を見ていた剣城の元に、クロエが駆け寄る。
そうして手に持っていたキャンディーを剣城の口元に押し付けた。
「剣城も」
半ば無理やり口に含まされた剣城だったが、想像していたよりも美味しかったのだろう、ちょっと目を見開いていた。それを見てクロエが満足そうに笑う。
──クロエもここ最近で表情豊かになったな。
「ジャンヌ、何をしておるのだ！」
壮年の兵士が語調を荒げる。ジャンヌはおろおろとしながらも、兵士の目を見つめて答えた。
「え、えっと……心配りです！ こうやって相手を知るために交流することが大事なんです」
心配り、というのは少し違う気がしないでもないが。
ジャンヌの言葉に、天馬や黄名子は大きく頷いていた。
「なんでもいい。早くこいつらをどうするか決めてくれ！」
若い兵士の言葉に、ジャンヌは考え込む。眼鏡の奥の瞳は始終優しげなものだった。
「とにかく、このままにはしておけません。連れて行きましょう──ヴォークルールへ」
＊
ジャンヌの一存で、私たちはヴォークルールに辿り着くことができた。
しかしかけられた疑いは晴れたわけではなく、私たちは塀に囲まれた広場のような場所に監視付きで軟禁された。ジャンヌは数名の兵士と共に、建物の中へ入っていった。
「もしかしたら僕たちも、この戦争に駆り出されるんじゃ……」
「それどころか、敵のスパイとして処刑されちゃうんじゃないですか！？」
「ちょいちょい、それは勘弁！」
みんなの間にも不安が広がる。
ジャンヌには会えたものの、これからどうするべきか。自由に身動きが取れない以上、作戦を練ることもできない。
「とにかく、なんとかしてミキシマックスのチャンスを見つけないと」
「でも、あのジャンヌさんとミキシマックスして強くなれるんかな……？」
フェイの言葉に、黄名子がそう漏らす。
確かに……その通りだ。ジャンヌから力強さは感じられない。オーラを受け取ったとして、強くなれるのかという疑問はあった。
「とりあえず、練習やりませんか？」
その時天馬が、サッカーボールを取り出してそう言った。
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キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
